<タックスニュース>

消費増税法案提出前の前哨戦  2012年税制改正法案は月内成立見通し
野党配慮の内容で小幅改正

 2012年度税制改正法案が8日に衆院を通過する。12年度予算案とともに参院に送付されるが、自民、公明両党も税法に賛成する方針のため、参院での予算審議が長引いた場合は、税法審議を切り離し、月内には成立させる見通し。租税特別措置の期限切れを避けるための「つなぎ法案」提出を余儀なくされた昨年の二の舞は避けられそうだが、実態は、自公が反対しそうな税制改正を先送りした「妥協の産物」。消費増税法案提出を控えていることもあり、小幅な改正内容といえそうだ。
 12年度税法の主な内容は、▽4月末に期限が切れるエコカー減税の3年間延長と自動車重量税の縮小▽住宅取得資金にかかる贈与税の非課税枠の拡充▽省エネ住宅向けの住宅ローン減税の拡充▽地球温暖化対策税(温対税)の創設▽給与所得控除の縮小――など。
 このうち、温対税と給与所得控除の縮小は11年度税法にも盛り込まれていたが、自公が反対したため未成立の状態が続き、昨秋にいったん削除された経緯がある。ただ、自公が反発したのは11年度税法に成年扶養控除の縮小見通しなどが盛り込まれた面も大きい。このため政府・与党は、12年度税法では成年扶養控除の見直しを見送ったほか、反発必至な配偶者控除の見直し議論には着手しなかった。自民内には温対税への慎重論もあったが、「与党を揺さぶる『政局カード』は特例公債法案で十分。未成立で経済への混乱を招けば、批判がこちらに来かねない」(自民税調関係者)と判断した模様。
 一方、重量税の減税は、「エコカー減税の延長だけで十分」という当初の見立てから一転し、民主党内の自動車総連出身議員の「ごり押し」で盛り込まれた経緯があるが、こちらは野党側から大きな反対は出なかった。

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<タックスワンポイント>

親の所有地に家を建てる  贈与税の節税対策

 第三者間で土地の貸し借りが行われるとき、借り手は地主に対して地代のほか、借地権設定の対価として権利金を支払うのが通例だ。しかし、親の土地を子どもが借りて家を建てたときは地代や権利金を支払わないことが多い。このように無償で土地を使用することを「土地の使用賃借」というが、この場合、子どもが親から借地権相当額の贈与を受けたことになるとも考えられる。しかし、使用賃借によって土地を使用する権利の価額はゼロとして取り扱われているため、子どもに贈与税は課されない。
 一方、子から親へ地代が支払われた場合は通常の「土地の賃貸借」となり、権利金相当額の贈与があったとみなされるので贈与税が課されることとなる。つまり贈与税の節税対策としては使用賃借とした方が得といえる。ただし、将来親が亡くなり、使用賃借されている土地を相続するときには相続税がかかる。相続の際のこの土地の評価額は、賃宅地としての評価額ではなく自用地としての評価額になる。
 また、親の借地を子どもが又借りして家を建てるときは、通常、親の借地権を権利金や地代を支払わずに使用することとなる。これは「借地権の使用賃借」となるが、「土地の使用賃借」と同様、子どもに贈与税は課されない。その証明として「借地権の使用賃借に関する確認書」を税務署に提出する。これは、借地権を使用する子どもと借地人である親、地主の3者が、借地権の使用賃借として又借りしていることを確認するもので、この書類の提出がなければ、借地権、または転借権の贈与があったとみなされ、贈与税がかかる場合がある。なお、この使用賃借されている借地権も、将来子どもが親から相続する際に相続税の対象となる。このとき、借地権は自用借地権として評価される。

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