Vol.0172
<タックスニュース>
一体改革 自民党が対案で丸呑み迫る 「マニフェストは諦めろ」の踏み絵
国会審議がはじまった「社会保障と税の一体改革」関連法案をめぐり、自民党は15日、社会保障部分の対案をまとめた。基本法の形で今国会に提出し、政府・与党に「丸呑み」を迫る方針だ。
「丸呑みをしたら向こうは真っ二つに割れますよ」。対案を決めた「社会保障制度に関する特命委員会」で、関連法案を審議する衆院特別委員会の自民党筆頭理事を務める伊吹文明元財務相はこう分析してみせた。対案は社会保障財源を消費増税に求める点では政府案と共通しているが、個別項目では民主党のマニフェスト関連政策にことごとく反対の姿勢を示した。
最低保障年金を柱とする民主党の年金改革案を「非現実的な選択肢」と切り捨て、「現行制度を基本」とする方針を明記。幼稚園と保育所の機能を統合した「総合こども園」など政府が掲げる「子ども・子育て新制度」も「保育の質の低下や負担増加を引き起こす」として「わが党は不採用」と強調した。
政府が対案を「丸呑み」するには、マニフェスト関連政策をあきらめる必要があり、「消費増税をしたいのなら、マニフェストは諦めろという踏み絵」(自民党幹部)を迫った形だ。
ただ、攻勢を強める自民党内も一枚岩ではない。肝心の基本法もいつ国会提出するか戦略は定まっていないのが実情だ。野田首相が基本法の「丸呑み」に踏み切れば、解散の確約が取れないまま消費増税に協力せざるを得なくなる可能性もあり、提出に慎重な声が根強いためだ。
消費増税の落としどころを探る政府・与党と自民党の駆け引きは国会終盤戦まで続きそうだ。
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<タックスワンポイント>
配偶者が受け取る遺産 相続税はかからない?
相続人の範囲や法定相続分は民法で定められており、死亡した被相続人の配偶者は相続を放棄しない限り常に相続人となる。ただし、「内縁の妻」は法律上の配偶者と認められないため、相続人には含まれない。
また、被相続人の配偶者には遺産形成に対する貢献や今後の生活保障を考慮して相続税の軽減制度が設けられている。これは、配偶者が遺産分割や遺贈により実際に取得した遺産額が、①1億6千万円、②配偶者の法定相続分相当額――のいずれか多い金額を超えるまでは配偶者に相続税は課税されないというものだ。なお、民法で定められている配偶者の法定相続分は、配偶者と子どもが相続人である場合に1/2、配偶者と直系尊属(父母や祖父母など)が相続人である場合に2/3、配偶者と兄弟姉妹が相続人である場合に3/4となっている。
この制度は、配偶者が遺産分割などで実際に取得した財産を基に計算されるため、相続税の申告期限までに配偶者に分割されていない財産は対象とならない。ただし、申告期限までに分割されていなくても、相続税の申告書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付し、実際に3年以内に分割した財産は、税額軽減の対象となる。また、申告期限から3年を経過する日までに分割できないやむを得ない事情があり税務署長の承認を受けた場合、その事情がなくなった日の翌日から4カ月以内に分割されれば対象となるので、焦らずに行いたい。なお、仮装または隠ぺいされていた財産は対象とならない。
この制度を受けるためには、税額軽減の明細を記載した相続税の申告書に戸籍謄本と遺言書の写し、遺産分割協議書の写しなど、配偶者の取得した財産がわかる書類を添付して提出する。相続税の申告後に行われた遺産分割に基づいて配偶者の税額軽減を受ける場合は、分割成立の翌日から4カ月以内に更正の請求をしなければならない。
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