Vol.0173
<タックスニュース>
フィッチ・レーティングス 日本国債格下げ 停滞する財政再建への不信感
消費増税法案をめぐる国会審議が続く最中、英米系の格付け会社「フィッチ・レーティングス」が22日、日本国債を格下げした。なかなか進まない日本の財政再建への不信感が背景にあり、停滞している消費増税法案などの審議に対しても警鐘を鳴らした。
野田佳彦首相は23日の衆院社会保障と税の一体改革特別委員会で格下げの感想を問われ、「民間会社の評価に逐一コメントしない」としながらも、「財政健全化に関わる法案の審議について市場も警戒感を持ち、国際社会も非常に注目していることを心の中に抑えて議論しなければならない」と述べ、かさねて消費増税法案の成立の重要性を強調した。
しかし、法案成立のために協力が不可欠な自民党からは、意外な提案も飛び出した。自民党の茂木敏充政調会長は23日の特別委員会で、国と地方の基礎的政収支(プライマリーバランス)の赤字を、2015年度までに国内総生産(GDP)比で10年度の半分にする政府の財政健全化目標の先送りを提案した。茂木氏は「消費増税して、すぐ財政再建を進めると経済の腰折れを起こしかねない」と理由を説明したが、野田首相は「市場の警戒感が強まっている時に変更することはいいのだろうか」とこれを拒否した。
健全化目標の達成は消費増税が前提だが、民主党内では小沢一郎元代表に近いグループなどは反対姿勢を崩さず、法案の成立はいまだ不透明だ。「法案が成立しなければ日本の財政への不信感が一挙に高まり、国債が暴落しかねないと格下げの動きを強調して法案成立の重要性を訴えるべき」(政府関係者)との声すらある。
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<タックスワンポイント>
役員退職金に異変! 2分の1課税廃止に
使用人が役員に昇格した際に、退職金を支給するケースがある。退職金は、原則として実際に退職した時に会社の損金に算入すべきものだが、このように実質的には退職しない者への退職金であっても、それが退職給与規定に基づいて支払われる「使用人期間の退職給与」ということであれば、その支給年度において損金に算入することができる。
これは、常勤役員から非常勤役員に、また、取締役が監査役になるなどの分掌変更があった場合に会社が支給する役員退職金も同様。ただし、この場合は分掌変更後の報酬がおおむね50パーセント以上減少するケースに限られる。
ところで平成24年度税制改正では、役員退職金に関する2分の1課税が廃止されているので注意が必要。退職所得については、長期間にわたる勤務の対価(給与)がまとめて後払いされるものであることや、退職後の生活保障的な所得であること等を考慮し、退職所得控除額を控除した残額の2分の1を所得金額とする「2分の1課税」の対象とされている。
一般的に、短期間勤務で支給される退職金については退職所得控除により課税されることは少ないが、中には2分の1課税を前提に、短期間のみ在職することが当初から予定されている法人役員等が、給与の受け取りを繰り延べて高額な退職金を受け取ることにより、税負担を回避するという事例が多く指摘されている。このように、役員と一般従業員の退職金はかなり異なる事情にあることを踏まえ、勤続年数5年以内の法人役員等の退職所得については2分の1課税が廃止されることになった。役員退職金の2分の1課税の廃止は、平成25年分以後の所得税からの適用となる。
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