<タックスニュース>

省庁版の事業仕分けで厳しい指摘  国税庁の広報・啓発活動も標的に

 各省庁の事業の無駄を外部有識者が洗い出す省庁版の事業仕分け「行政事業レビュー・公開プロセス」が6月上旬から約2週間行われた。行政の無駄を削減し、国民に消費増税に対する理解を求める狙いもある。無駄削減の財政効果は限定的になりそうだが、仕分け人からは事業の効率性などについて厳しい指摘が相次いだ。
 従来は仕分けの対象事業と仕分け人を内閣府の行政刷新会議が選んでいた。しかし、今回は対象事業と仕分け人の半数を当該の省庁が選んだことや評価結果が同数の場合は、担当省庁の副大臣らがとりまとめを行う形をとったことなどから、「どこまで厳しく判定できるのだろうか」(野党幹部)と疑問の声が上がっていた。
 しかし、実際の仕分けでは有識者から厳しい指摘が上がり、廃止や抜本的改善と判定される事業も相次いだ。
 国税庁が納税を呼び掛ける広報・啓発活動については仕分け人から、「事業の効果をきちんと検証せず、前年と同じ事業だからと継続するのは問題」などとの批判が上がり、抜本的改善が必要と判定された。また、文部科学省が行う留学生の派遣や受け入れを支援する事業についても抜本的改善が必要と判定された。特に日本人留学生を対象に3カ月未満の短期留学を支援する制度は、「欧州の学生は自分で稼いで留学している」などと、国費を投じて留学を支援することへの批判もあった。
 各省庁は仕分けの結果を来年度の概算要求に反映させていく。ある経済官庁幹部は「今回の仕分けで行政の無駄に対する視線がますます厳しくなっていることを痛感した。判定結果をしっかりとふまえ予算要求をまとめていく」と語る。

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<タックスワンポイント>

退職後に支払う給与  源泉徴収どうなる

 退職した社員に給与を支払うことがある。退職後に支給時期が到来する給与がある場合や、在職中の給与の追加支給をする場合など。このように退職した社員に給与を支払う場合、それが「給与所得」なのか「退職所得」なのか、慎重に判断する必要がある。
 サラリーマンの退職金は「老後の生活保障」という位置づけであるため、税制上で手厚く優遇されている。課税対象となる退職所得は、退職手当から退職所得控除額を引いた額の2分の1。
こうなると、何とか「退職金扱い」にしてあげたいところだが、それが在職者に支払うものと同性質のものであれば、「退職に基因して支払われるもの」にはならないため退職所得には該当しない。このため源泉徴収は「給与等」として行うことになる。
 もうひとつ気になるのが給与所得者の扶養控除等申告書の取り扱いだ。扶養控除等申告書は、その給与所得者が提出の際に経由した会社を退職したときに、その効力を失うものとされている。従って、退職後に支給期が到来する給与等を支払う場合には、原則として扶養控除等申告書の提出がないものとして取り扱い、給与所得の源泉徴収税額表の「乙欄」で源泉徴収をすることになる。
 ただし、退職した年中に給与等の支給をする場合、その退職者が再就職先などを経由して扶養控除等申告書を提出していないことが明らかであれば、退職後も給与所得者の扶養控除等申告書が引き続き効力を有するものとして、給与所得の源泉徴収税額表の「甲欄」で源泉徴収してもよいこととされているので覚えておきたい。


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