<タックスニュース>

「簡易な給付措置」「軽減税率」どちらを導入?  3党間の修正協議、結論先送り

 民主、自民、公明の3党間で続く消費税増税法案の修正協議。焦点となっている低所得者対策では、消費税が10%になる15年10月時点で、減税と現金給付を組み合わせた「簡素な給付措置」か、食料品など特定の品目の税率を低く抑える「軽減税率」のどちらを導入するかは今回の協議で決めず、結論を先送りする公算が大きくなった。
 給付付き税額控除を求める民主党と、軽減税率導入を求める自民党の間で大きな意見の隔たりが生じている低所得者対策。このため水面下の調整で両党は、軽減税率は将来的に消費税率が10%を超えた段階での検討課題とすることで認識を一致させた。公明党も民自両党が合意すれば、最終的に異議は唱えない見通しだ。
 一方、低所得者を対象に現金を配る「簡素な給付措置」は、14年4月の消費税率8%引き上げの段階で導入することで、3党の意見はほぼ一致している。しかし、規模や対象については、自民党が89年の消費税導入時や97年の5%引き上げ時を参考に1年限りの給付を主張するのに対して、公明党は対象のさらなる拡充や複数年の実施を要望するなど、自公間で意見の隔たりが生じている。
 そもそも低所得者対策は「公明党対策で考え出されているため、公明党案に近くなる可能性が大きい」(財務省幹部)とみられている。公明党は法案採決前に規模や対象を具体化するよう求めたが、民主党は8%への引き上げ時の予算編成までに検討するとして自民党への配慮をにじませた。

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<タックスワンポイント>

住民税でも増税を実感  6月徴収分から年少扶養控除が廃止

 16歳未満の年少扶養控除(33万円)と同時に、16歳以上19歳未満の扶養親族に対する特定扶養控除の12万円の上乗せ部分も廃止となる。これらはいずれも平成22年度税制改正で廃止が決まったもので、控除の廃止による税負担の増加分は「子ども手当」(平成24年4月からは「児童手当」)の創設や高校授業料の実質無料化のための財源にするとされていた。所得税ではすでに平成23年分から、対象年齢の扶養親族1人につき38万円の控除が廃止されており、特定扶養控除として1人につき25万円を上乗せする部分の控除も廃止されている。
 当初、扶養する子ども1人につき月額2万6千円を支給するとしていた「子ども手当」と引き換えるかたちで、控除の廃止による実質増税を受け入れた納税者だったが、肝心の「子ども手当」は従前の「児童手当」に逆戻りしたため、結果としては税負担だけが増えたことになる。住民税は税率が一律10%のため、課税最低限を上回る所得がある場合には、16歳未満の子ども1人につき年額3万3千円、16歳以上19歳未満の特定扶養親族の場合は1人につき年額1万2千円、税負担が増えることになる。
 「子ども手当」は「児童手当」に逆戻りし、支給規模も従前のままに据え置かれた状態だが、増税だけは予定通り実施されたかたちだ。政権交代後、政府・与党は所得税・住民税課税について「控除から手当へ」の転換を図っていくとしていたが、結果としては「控除も手当もなし」という現実だけが残ったといえるだろう。税の専門家である税理士らの職業会計人からは、「最初からこれ(控除の廃止による実質増税)だけが狙いで、子ども手当などは絵に描いた餅に過ぎず、誰も本気で実現しようなどとは思っていなかったのだろう」「子育て支援を掲げて政権を取ったはずの政党だが、実際には子育て世帯の税負担を増やしただけ。やり方が巧妙な分、確信犯といえる」などといった、現政権に対する批判的な声も少なくはない。

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