Vol.0175
<タックスニュース>
民主・自民 増税慎重派の動きが活発化 法案の成否は両党の修正協議しだい
消費増税法案の採決が大詰めを迎える中、民主・自民両党内で増税慎重派の動きが活発になっている。与野党協議が決着すれば、今国会中の法案成立が視野に入るだけに、「増税阻止」に向けた両執行部に対する揺さぶりは今後ますます強まりそうだ。
「民主党に荷担しては、選挙は戦えない」自民党の「消費増税を考える会」は5日、大島理森副総裁に対し、消費増税法案への対応を協議するための全議員・選挙区支部長懇談会を開くよう申し入れた。
申し入れ書に名を連ねたのは、中川秀直元幹事長や塩崎恭久元官房長官ら20人。修正協議に待ったをかけることで、法案成立に前のめりな谷垣執行部に方針転換を迫る狙いだ。
足下に不安要素を抱えているのは、野田民主党政権も同様だ。5日には荒井聡元国家戦略担当相が、関西電力大飯原発の再稼働に慎重な判断を求める党所属議員117人の署名を野田首相に提出した。
署名には、小沢一郎元代表や鳩山由紀夫元首相ら民主党内の増税慎重派が並んでおり、野田首相が消費増税と並ぶ重要課題に掲げる大飯原発の再稼働に反対の声を上げることで、政権への圧力を強める思惑があるとみられる。
消費増税法案をめぐっては、公明党が「社会保障の全体像が示されておらず、現時点では賛成できない」と批判するなど、自民党を除く野党のほとんどが反対姿勢を鮮明にしている。法案の成否は、民主、自民の修正協議がまとまるかどうかの一点にかかっている。
それだけに両党内の増税慎重派の危機感は強く、修正協議の陣頭に立つ野田首相と谷垣総裁は国会会期末に向け綱渡りの調整を強いられそうだ。
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<タックスワンポイント>
金融・証券税制について質問主意書 10%軽減税率の撤廃は「確実に実施」
上場株式等の配当・譲渡所得の金額に関して10%軽減税率が適用されているが、平成26年1月1日には20%の本則税率に戻ることが23年度税制改正大綱で示されている。これについて政府は、野党議員が提出した質問主意書に対する回答で、改めて「確実に実施する」と述べた。
政府は答弁書で、「金融所得間の課税方式の均衡化と損益通算範囲の拡大を柱とする金融所得課税の一体化に向けた取り組みを進める」として、20%の本則税率にする措置について「経済金融情勢が急変しない限り、確実に実施する」と、23年度税制改正大綱の文言を引用することで、10%軽減税率の撤廃に向けて確実に進んでいく姿勢を強調した。
なお、10%の軽減税率が株式市場等にどれくらいの影響を与えたかについては、「目的の達成状況を定量的に示すことは困難」として具体的な数字を示さなかった。
上場株式等の配当・譲渡所得の金額に対する軽減税率は、「貯蓄から投資へ」という政策課題をふまえ、平成15年度税制改正で5年間の特例措置として導入された。株式市場を活性化させるなどの理由から、19年度改正、21年度改正でさらに適用を延長。23年度改正では「景気回復に万全を期すため」として2年間延長したうえで26年1月から20%の税率にすることも盛り込んでいた。
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