<タックスニュース>

「5年で19億円」の復旧・復興費増額へ  補正予算膨張のけん制の狙いも

 政府は「5年で19兆円」としている東日本大震災からの復旧・復興費用を増額する方向で検討に入った。安住淳財務相が3日、閣議後記者会見で「2012年後半から2013年にかけ、5年で19兆円の枠を超えざるを得ない。新たな財源調達をどうするか考えないといけない」と述べ、増額の検討を表明した。しかし、2011年度予算での復興費の使い残しも多く、今後予算の使い道の選定についてはより慎重さが求められそうだ。
 そもそも19兆円枠の拡大は11年度決算で1.2兆円の剰余金が生じたことがきっかけだ。与野党からは剰余金を活用し、景気対策の補正予算編成を求める声が高まるとみられるが、政府は「復興財源に優先的に活用する」という姿勢を示し、財源確保に課題がある中で補正予算がいたずらに膨れ上がることをけん制する狙いもあるようだ。
 2012年度当初予算までに約18兆円を政府は計上しているが、被災地の復興計画策定や作業の遅れなどで12年度以降に繰り越されたり、不要とされた予算も多い。しかし、予算の残りは少なくなっているのが実情で、安住財務相は「地元から復興計画が出てきたり、福島の問題でどのような予算措置をしないとならないかということがある」と指摘する。東京電力福島第1原発事故に伴う除染費用など、復興関連費用に今後さらに資金が必要なのかを算定することは至難の業だが、被災地に必要な資金が届かない事態は避けるべく政府は復興予算の見直しを進める。
 ただ、復興増税や政府保有株式売却などで賄う復興財源は、19兆円のうち約7割は復興債という借金で賄う。今後さらに復興費用が膨らめば、追加財源確保が課題になる。

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<タックスワンポイント>

債権を解消するには  回収不能なら損金に

 貸した金をなかなか返してもらえないというのはよくある話。景気低迷の折、相手方の事情もよくわかるだけに強くも出られず、金銭債権を何年越しで抱え続けている会社は少なくない。税務上、法人の金銭債権について一定の事実が生じた場合には、貸倒損失として損金の額に算入することができる。
 一定の事実とは、①金銭債権が切り捨てられた場合②金銭債権の減額が回収不能となった場合③一定期間取引停止後弁済がない場合――など。
 ①には、会社更生法や会社法、民事再生法等の規定により切り捨てられる金額、債権者集会の協議決定や行政機関・金融機関などのあっせんによる協議で合理的基準によって切り捨てられる金額、また、債務者の債務超過の状態が相当期間継続し、その金銭債権の弁済を受けることができない場合に、その債務者に対して書面で明らかにした債務免除額なども含まれる。
 ②は、「回収不能」の判断がポイントになる。債務者の資産状況、支払能力等から見てその全額が回収できないことが明らかになった場合は、その明らかになった事業年度において貸し倒れとして損金に算入することができる。ただし、担保があるときはその担保を処分した後でなければ損金経理はできないので注意が必要だ。
 また③の「一定期間取引停止後弁済がない場合」とは、継続的な取引を行っていた債務者の資産状況や支払能力等が悪化したために取引を停止し、その取引停止の時と最後の弁済の時などのうち最も遅い時から1年以上経過したときを指す。ただし、その売掛債権について担保物のある場合は除くので注意が必要だ。
 ただし、損金にできるのは、会社で貸している場合と個人が事業として貸している場合のみで、個人的に友人に貸したお金については、貸倒になっても経費にはならないので念のため。


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