<タックスニュース>

消費税増税法案、参院本会議で可決  実施前の景気浮揚策が焦点

 消費税増税法案が10日、参院本会議で可決、成立した。14年4月に8%、15年10月に10%へと2段階での税率引き上げが決まり、実現すれば17年ぶりの消費税増税となる。ただ、実際に増税を実施するかどうかは、税率引き上げの半年前に、政府が景気情勢などから総合判断することになっており、「景気の壁」が増税に立ちはだかる可能性もある。年末から2013年前半にかけ、増税準備のための景気浮揚策が焦点となるが、野田佳彦首相が約束した「近いうち」の解散・総選挙も絡み、与野党の駆け引きになりそうだ。
 解散・総選挙を少しでも遅らせ、あわよくば年明け解散を期する民主党が描くのは、2012年秋に経済対策を策定し、10月の臨時国会に補正予算を提出する筋書き。自民、公明両党と連携する形で経済対策を組めれば、国会審議には1カ月以上を要するため、そのまま年末の予算編成になだれ込むことも視野に入ってくる。民主党自身にとっても、経済対策を掲げて衆院選に臨むことができる。問題は、早期解散を求める自民党を巻き込めるかどうか。そのためには、公共事業など自民党にとっても選挙対策になるよう予算規模を膨らませる必要がある。自民党を思いとどまらせる役割を期待される公明党に配慮するためには社会保障関係の予算措置も不可欠。
 こうした予算規模拡大を心配してか、財務省からは「景気はいい。いま対策を打っても、増税判断の来秋まで効果は持続しない」とけん制する声が上がっている。
 消費増税法が成立した矢先に大規模な経済対策となれば、やっと一歩を記した財政再建の道筋がまた霞んでいくことになりかねない。今後の財政運営の行方を占う上でも重要な局面となりそうだ。

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<タックスワンポイント>

出向社員への給与  較差補てん金は損金?

 関連会社に出向――。サラリーマンの世界ではそんなに珍しいことではない。慣習としての人事交流のほか、大きなプロジェクト要員としての派遣や特殊技術の習得または指導などの理由で、自社の社員を出向というかたちで関連会社に送り出すのはよくある話だ。
 このような出向社員に対する給与は出向先法人が負担するのが一般的だが、その場合でも支給のスタイルとしては、出向元法人が出向先法人から「給与負担金」を受け入れ、出向社員に対しては出向元法人から給与を支給するケースが多いようだ。この場合、出向先法人の給与水準が低いと、受け入れた給与負担金が出向元法人における給与以下となり、結果的に出向元法人が両社の給与較差分の負担をすることになる。
 このように、出向元法人が出向社員に対して給与の較差補てん金を支給した場合、税務上の取り扱いはどうなるのだろうか。較差補てん金の性格は給与であっても、その社員が勤務しているのは出向先法人であるため、給与として損金に算入してよいものかどうか考えてしまいがち。しかし、出向者と出向元法人との雇用契約は出向期間中であっても依然として維持されていることから、出向元法人が支給した給与の較差補てん金は損金に算入される。
 なお、出向先法人が経営不振等で出向者に賞与を支給することができないため、出向元法人が代わりにその出向者に賞与を支給する場合や、出向先法人が海外にあることから、出向元法人が留守宅手当を支給する場合も「較差補てん金」として取り扱われる。
 ただし、過去には較差補てん金として、認められなかった事例もあるため、顧問税理士とよくご相談されることをお勧めする。

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