<タックスニュース>

首相、補正予算編成に意欲  解散先送りの狙いも

 野田佳彦首相は、民主党代表選の討論会の席上、「補正をどこかでやらなければいけなくなる」と述べ、補正予算編成に意欲を示した。欧米や中国経済の減速を受け、復興需要に支えられ堅調だった国内景気が下向きになってきたとの懸念が急速に広まっているためだ。ただ、補正編成の狙いは、景気下支えのためだけではない。補正編成で自民、公明両党と合意できれば、衆院解散の時期を年明け以降に遅らせることが可能になるからだ。補正編成は、各党の思惑が絡み合う展開となりそうだ。
 野田首相は9月12日、「グリーン、ライフ、農林水産、中小企業などの分野に軸足を置き、来年度予算編成の前に前倒しする必要が出てくるか、精査していきたい」と述べ、補正予算は成長戦略につながる施策を柱とする構想を語った。2012年10月に開かれる臨時国会に補正予算が提出されれば衆参の審議などで1カ月程度が必要で、その間は解散を先送りできる。補正成立が12月近くになっていれば来年度予算編成を理由に解散をさらに遅らせられる可能性が高まり、民主党内で慎重論が強い年内解散を事実上封じることができる。
 ただ、補正成立には自民、公明両党との合意が必要。並行する自民党総裁選で選出される新総裁が、補正編成で協調するかどうかが注目される。橋下徹・大阪市長が率いる「日本維新の会」の支持拡大を見れば、自民党が一刻も早い解散を求める公算が大きいが、同党長老は「必ずしも早期解散を望んでいない」との見方もある。「3党が解散に合意し、解散によって生じる政治空白を、景気面から支える補正編成はありうる」(経済官庁幹部)状況で、解散と補正をめぐる与野党の攻防が、臨時国会の焦点になる。

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<タックスワンポイント>

タクシー券の税務  利用目的で費目異なる

 初乗り料金が値上がり傾向にある中、顧客獲得に苦戦しているタクシー業界。好況期に比べるとビジネスシーンでのタクシー利用は激減したといわれているが、それでも大事な取引先を接待した日や、深夜まで残業した日の帰りの足としてまだまだ健在である。
 こうしたビジネスシーンでタクシーを利用する際によく使われるのがタクシーチケット。記述式のタイプが一般的で、利用者が精算時に乗車経路や料金などの必要事項をチケットに書き込み、運転手に渡す仕組みだ。タクシー会社から利用会社には、通常、月に一度請求書が送付され、振込みや口座引落としで料金を支払う。会社としてはタクシー利用料金を後日一括で支払うことができるので管理上する上でとても便利なシステムである。
 しかし、税務上の取り扱いには注意が必要。利用料金の支払いが一括だからといって、それを一括して「旅費・交通費」として損金処理すると、税務調査で否認される可能性もあるからだ。
 タクシーチケットの費目は、あくまで利用の実態に応じて処理する必要がある。例えば、取引先の接待に使ったのであれば「交際費」、社員が個人的な用事で使ったのであれば「給与」といった具合に利用目的により費目を変える必要があるというわけ。
 また、他社が主催する懇親会に従業員や役員を出席させるためにタクシーを利用した場合は、あくまで会社の業務遂行上必要な費用であって、接待のために支出する費用でもないため、旅費・交通費として損金処理することができる。ただし、この場合は懇親会の費用を他社がすべて負担しており、本来相手が支払うべきタクシー代をやむなく負担したということが条件だ。

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