<タックスニュース>

TPP 次回会合は7月にマレーシアで開催  日本の出遅れ挽回は困難

 ペルーの首都リマで5月24日まで開かれていた環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の拡大交渉会合で、次回会合を7月15~25日にマレーシアで開催することで合意した。日本の参加を認める米議会の手続きは7月23日に終わる予定で、日本が参加できるのは最長3日間。議長国ペルーのバスケス首席交渉官は記者会見で、「日本が円滑に参加できるよう協議した」とし、日本に最大限配慮した日程と強調したが、日本が7月会合で出遅れを挽回するのはかなり難しくなった。
 協定案の文書は何千ページもあると言われるが、交渉参加国以外は閲覧できず、日本が文書を見ることができるのも米議会の手続き終了後。政府は今回、会合の開かれているリマに外務、経済産業、農林水産各省の交渉担当者を派遣し、情報収集を図った。会合の中には入れないが、参加している11カ国の交渉担当者から交渉の状況を聞き出すのが目的で、情報不足を少しでも埋めようと必死だ。
 日本は、工業品の関税撤廃で輸出拡大を図る一方、農業分野の重要5品目(コメ、麦、牛・豚肉、乳製品、甘味資源作物)は関税撤廃の例外扱いにする戦略を描く。しかし、豪州やニュージーランドは牛肉や乳製品の関税撤廃や大幅な軽減を求めてくると見られる。交渉参加時までに決まったことは、後から参加した国が変更できない仕組みになっており、年内妥結を目指すTPP交渉にかけられる時間は少なく、日本の主張を通すのは簡単ではない。
 国内の調整も依然として続いている。政府は5月21日に「農林水産業・地域の活力創造本部」の初会合を開き、「攻めの農林水産業」の具体策の検討を始めた。自民党の支持基盤の一つである農業界はTPP交渉参加に反発しており、7月の参院選も絡んで検討が急ピッチに進められそうだ。


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<タックスワンポイント>

“お墨付き”得て活況  生保全額損金プラン

 企業の攻守をカバーする養老保険の全額損金プランが一般化してきた。これは会社を契約者、役員および従業員を被保険者とし、死亡保険金受取人を会社、満期保険金受取人を被保険者として契約する養老保険契約のこと。
 この場合、会社が負担する保険料のうち、死亡保険金に対応する部分は定期保険の掛け捨て保険料と同様に支払保険料として損金扱い、満期保険金に対応する部分は被保険者への給与として損金扱いとなる。
 運用利回りの良さと支払保険料の損金性が魅力のプランではあるものの、税務上の取り扱いに関する直接的な根拠条文がないことから、長年その足場は極めて不安定だった。
しかし昨年1月に下された、同プランにおける満期保険金の一時所得計算をめぐる最高裁判決によって状況は一変。
 役員が受け取った満期保険金の一時所得計算上、必要経費として控除できる保険料の範囲について、判決では「給与課税されていない会社負担の保険料は必要経費に含まれない」とされ納税者の敗訴となった。
 しかしこの判決をよく見ると、同プランにおける法人側の税務処理については争点となっていないどころか、むしろ「全額損金プランありき」で展開した裁判によって、法人側の税務処理について”お墨付き”を得た格好になっている。
 経営戦略の一環として生命保険を活用するケースが一般化してきたが、不況下にもかかわらず利益を上げている会社の間では根強い人気を誇っているのがこの全額損金プラン。経営戦略としての選択肢に安定感が増し、生保節税の需要は益々高まりそうだ。


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