<タックスニュース>

安倍首相 消費税率引き上げ決断へ  10月1日に最終判断

 来年4月の消費税率の引き上げをめぐり、自民党税制調査会(野田毅会長)は9日に全議員対象の会合を開いた。政府は8月末に消費税率引き上げの判断材料とするため、有識者60人から6日間かけて意見聴取を行った。有識者ヒアリングは世間の注目度も高く、政府主導で消費税議論が進むことに対して自民党内では不満が高まった。自民、民主、公明の3党合意を経て、すでに法律で決まっている消費税の増税に関して、党税調は当初、全議員を対象にした会合は開かない方針だったが、石破茂幹事長が指示をして急遽、開催が決まった。
 冒頭、野田会長は「わが党がどういう公約をして選挙を戦い、今日に至ったかを確認したい」とあいさつし、消費税の増税は既定路線だとの認識を示し、出席者をけん制した。議員からは「増税既定路線だとの認識を示し、出席者をけん制した。議員からは「増税は3党合意で決めたこと。きちんとやるべきだ」「東京五輪開催が決まり、景気先折れの懸念はなくなった」などの意見が出された。17人の議員が発言したものの、いずれも予定通りの増税実施を求めた。財務省幹部は「増税反対や延期論者が1人もいなくてよかった」と胸をなで下ろす。
 安倍晋三首相は翌10日に自民党の高市早苗政調会長から党内議論の状況報告を受け、「全国で体感した景況感を判断材料の一つにさせてもらう」と述べた。首相は同日、増税後の景気腰折れを防ぐために、今月中に成長戦略第2弾などを含めた新たな経済対策をまとめるように指示。10月1日には8月の失業率・有効求人倍率や9月の企業短期経済観測調査(日銀短観)が発表され、これらの景気指標が最後の判断材料になる。首相はこれらの数字をみて10月1日にも消費税引き上げの最終決断をするが、予定通り実施の見方が広がっている。

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<タックスワンポイント>

生産機械を買い換えたい  新投資促進税制に注目

 企業の設備投資は景気回復のバロメーター。製造用の機械を買い換えたり、工場を拡張したりする行為は、取引が増加して企業の経営状態が上向いている証ともいえる。
 平成25年度税制改正では、生産等設備の更新を促進して生産性の向上を図るとともに、国内における設備投資需要を喚起する狙いで、企業の設備投資を税制面からバックアップする制度が新たに設けられた。
 「生産等設備投資促進税制」は、国内において設備投資を増加させた企業が新たに取得した機械・装置について、30%の特別償却または3%の税額控除ができる制度(法人税額の20%が限度)。
 平成25年4月1日から同27年3月31までの間に開始する事業年度に適用できる期間限定措置だ。
 ここでいう「生産等設備」とは、その企業の製造業その他の事業の用に直接供される減価償却資産(無形固定資産および生物を除く)で構成されるもの。なお、本店、寄宿舎等の建物や、事務用器具備品、乗用自動車、福利厚生施設等は該当しない。
 これから設備投資を検討している会社にとっては渡りに船といったところだが、この特例が適用できるのは、(1)国内における生産等設備への年間総投資額が減価償却費を超えていること、(2)国内における生産等設備への年間総投資額が前年度と比較して10%超増加していること―の2要件を満たした事業年度に限られる。
 景気が緩やかに回復し、ここ数年低迷していた経済取引が活況を取り戻してきたといわれている。実際に受注が増え、事業拡大に向けたテコ入れを検討している企業にとっては注目したい特例だ。

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