<タックスニュース>

法人税実効税率引き下げの是非  麻生VS甘利 政権内で議論浮上

 来年4月に予定される消費税率引き上げに向けた景気対策として、法人税の実効税率引き下げの議論が政権内で浮上してきた。経済成長重視で経済産業省との距離が近い甘利明経済再生担当相は実効税率引き下げに前向きである一方、財政規律重視の麻生太郎財務相や自民党税制調査会の幹部は、消費税を引き上げておいて企業に減税するのは国民の理解が得られないと難色を示す。これまで政府・与党は成長戦略の柱として、企業の設備投資を促進する法人税減税を検討してきたが、法人税率そのものの引き下げも論点の1つになってきた。
 甘利氏は9月末までにまとめる景気対策に関して「法人税の減税を含めていろいろな議論がある」と法人税の実効税率引き下げも含めて検討する考えを示す。一方、麻生氏は「消費税を上げて、企業の法人税を下げるのは世間に通る話か」と否定的だ。現在、増税後の景気対策の議論を進める自民党税調の野田毅会長は「そもそも検討課題の1つとして取り上げることはない」と党税調では扱わない考えだ。
 法人税の実効税率は現在35.64%で、東日本大震災の復興財源確保のために臨時増税し、14年度までは約38%になっている。1%下げると約4000億円の税収減につながり、仮に諸外国並みの法人税率25%に下げると約4兆円の減収だ。消費税1%で約2兆7000億円の税収で、法人税率を10%引き下げれば、消費税約1.5%分が失われることになる。
 政府は税収など借金以外の歳入で政策経費をどれだけまかなえるかを示す「基礎的財政収支」の赤字を15年度までに10年度比で半減し、20年度までにゼロにする目標を掲げる。そのまま法人税率を引き下げれば、財政健全化の目標達成は不可能で、代替財源の確保が必要だ。

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<タックスワンポイント>

中小企業を税で支援  最新優遇税制アレコレ

 大企業に比べ資金力に乏しく景気に左右されやすい中小企業だが、その分税制面からの支援は手厚い。今年の税制改正でも中小企業へのフォローが目立った。
 例えば雇用促進税制。これは、一定要件をクリアした場合に、当期中に増加した雇用者1人当たり一定額の税額控除ができる制度。法人税額の10%が限度だが、中小企業については20%が限度となる。平成25年度税制改正では、この税額控除額が「1人当たり40万円」に引き上げられた(改正前は20万円)。同25年4月1日から同26年3月31日までの間に開始する事業年度に適用となる。の20%を限度)ができるという制度。平成25年4月1日から同27年3月31日までの間に対象設備を取得等して指定事業の用に供した場合に適用となる。
 交際費の特例も拡充した。法人が支出した交際費は原則として損金不算入とされているが、資本金1億円以下の中小企業については、定額控除限度額までの交際費のうち90%相当額について損金算入が認められていた。改正により、この定額控除限度額が800万円に引き上げられた上(改正前は600万円)、その全額が損金算入できることとなった。
 いずれの特例も、資本金1億円以下の中小企業が対象。「商業・サービス業・農林水産業を営む中小企業等の支援措置」の税額控除については、資本金3千万円以下の中小企業が対象となる。適用要件をチェックした上で積極的に活用したい。

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