<タックスニュース>

高所得サラリーマン増税へ  個人消費落ち込みへの懸念も

 2014年度の税制改正で、高所得層のサラリーマンは今後、増税になることが決まった。16年から年収1200万円超の人を、17年からは年収1000万円超の人を対象に、サラリーマンの必要経費とみなす「給与所得控除」を縮小し、増税する。財務省の試算によると、どちらかが働く夫婦で子ども2人の家族で年収1200万円の場合、17年には現在より年間3万円の増税になる。
 所得税や住民税の税額は、給料からさまざまな控除を引いた「課税所得」に税率をかけることで決まる。年収が多いほど給与所得控除も増える仕組みで、現在は年収1500万円以上になると、控除額は245万円で頭打ちになる。この控除の上限額を、16年1月から年収1200万円超で230万円、17年1月からは年収1000万円超で220万円に段階的に切り下げる。増税額は、年収1500万円のサラリーマンの場合、16年段階では現在に比べて年間7万円、17年では年間11万円になる。
 国税庁の民間給与実態統計調査(12年)によると、サラリーマンの平均年収は408万円で、年収200万円超~400万円までの層が最も多く、全体の35.1%を占める。今回、増税になる年収1000万円超~2000万円までのサラリーマンは155万人で、給与所得者全体の3.4%。年収2000万円超の人は17万人で全体の0.4%と対象になる高所得層は非常に少ないので影響は限られる。
 14年4月1日の消費増税に合わせて、政府は景気対策として簡素な給付措置などの低所得者対策を実施する予定だ。だが、対象者は少ないものの購買意欲が高く、消費を牽引する給与の高い層に増税をすることで、個人消費が落ち込む懸念もある。

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<タックスワンポイント>

「事前通知」に例外  調査対応は慎重に

 税務調査の「事前通知」が今年からスタートしている。
 「事前通知」とは、税務調査に入る前に、税務署から調査先の社長や税理士に対して、調査を開始する日時、調査を行う場所、調査の目的、調査の対象とする税目、調査の対象となる期間、調査の対象となる帳簿書類その他の物件―などについて通知を行うこと(国税通則法74条の9)。
 事前通知はかねてより行われてはいたが、あくまで任意だった。しかし平成23年12月の国税通則法改正によって義務化され、今年1月の調査から適用開始。これにより、ある日突然税務調査官がやって来てあたふたするといったことはなくなったわけだ。
 しかしこの事前通知、あくまで原則であり、例外もあるので注意が必要。税金の申告内容や過去の調査結果、事業内容その他国税当局が保有する情報などから、事前通知をすると「違法または不当な行為を容易にし、正確な課税標準等または税額等の把握を困難にするおそれ」、または「その他、調査の適正な遂行に支障をおよぼすおそれ」があると判断された場合には事前通知の必要はなく、無予告での調査が認められているのだ(同法74条の10)。
 この例外規定はかなり”柔軟”な解釈が可能なようで、例えば過去に一度でも申告漏れが指摘されたことのある会社などは無予告調査の対象になる可能性もある。
 合理的な理由なく調査を拒否した場合は、「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」という罰則まで用意されている(同127条の2)ので、もし無予告調査が入ったとしても、慎重な対応を心がけたい。

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