<タックスニュース>

政府税調 欠損金制度見直しで議論  繰越期間延長の意見相次ぐ

 首相の諮問機関である政府税制調査会の法人税ディスカッショングループが3月31日に開かれ、安倍首相が意欲を示す法人税改革に関して、企業が赤字(欠損金)を出した場合に、赤字を翌年度以降に持ち越して黒字(課税所得)から差し引くことができる「欠損金の繰越控除制度」の見直しについて議論した。多くの委員からは、年度ごとの控除限度額を引き下げる一方、繰り越せる期間を現行の9年から延長する見直しを求める意見が出された。
 繰越欠損金制度では、赤字を最長9年まで繰り越すことができる。大企業は各年度の黒字額の最大8割まで控除可能で、中小企業は黒字額を全額控除できる。財務省によると、2012年度の法人税額(国税)は10.4兆円だが、欠損金の繰越控除による2.3兆円や、租税特別措置による軽減1兆円などで法人税負担が減っており、それらの制度がなかった場合の法人税額は16.2兆円程度と推計される。
 また、欠損金の繰越控除制度を導入している海外の事例では、米国は繰越期間が20年、英国、ドイツ、フランスは繰越期間が無制限であることが紹介された。
 会合では東芝の佐々木則夫副会長は「(黒字額の)80%である繰越控除制度は米国や英国、に比べて見劣りするが、期間延長をすれば議論の余地がある」として、控除限度額はそのままにして繰越期間の延長を求め、法人税以外の税目を含めた税収中立を主張した。連合の古賀伸明会長は「法人税の枠内での税収中立が必要で、欠損金の繰越控除額を現在よりも引き下げて、控除期間を延長する」と述べた。
 会合は今後、2週間に1回のペースで開催され、6月に政府が作る経済運営の基本方針「骨太の方針」の前までに報告書を作成する。


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<タックスワンポイント>

すまい給付金の申請受付開始  平成29日12月末まで実施

 消費増税と同時に「すまい給付金」がスタートした。すまい給付金申請窓口やすまい給付金事務局で申請受付・審査が始まっている。
 住宅ローン利用者の負担軽減制度には住宅ローン減税がある。この減税制度は4月から拡充され、最大控除額(10年間)が200万円から400万円に、住民税からの控除上限額が1年あたり9万7500円から13万6500円に増えた。しかし、住宅ローン減税は納めている所得税から控除する仕組みであるため、収入が低い人ほど効果が薄くなる。
 そこですまい給付金制度は、住宅ローン減税拡充の負担軽減効果を十分に受けられない収入層が対象とされている。給付金を受けられるのは、住宅を取得して登記上の持分を保有するとともにそこに居住する収入が一定以下の人。住宅ローンを利用せずに即金で住宅を取得した人でも、50歳以上で収入額の目安が650万円以下の人は対象になる。給付額は、収入額の目安(都道府県民税の所得割額)で決まる「給付基礎額」に不動産の「持ち分割合」を乗じて決める。具体的には、消費税率8%時は、扶養家族が1人の住宅購入者の場合、年収425万円以下の人は30万円、425万円超475万円以下は20万円、475万円超510万円以下は10万円。消費税率が10%に引き上げられたときは、給付対象の上限が77
5万円の人になるとともに、最大給付額が50万円になる。
 住宅の要件は、床面積が50㎡以上であること、第三者機関の検査を受けた住宅であることなど。「新築住宅」と「中古再販住宅」とでは一部要件が異なる。平成26年4月以降に引き渡される住宅から、29年12 月までに引き渡されて入居が完了した住宅までに適用される。


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