<タックスニュース>

法人税率引き下げで主導権争い  自民税調が早くも議論

 安倍晋三首相が「アベノミクス」の次なる目玉と位置付ける法人税の実効税率引き下げを巡り、政府・与党内で主導権争いが激化しつつある。自民党税制調査会(野田毅会長)は4月2日の幹部会で議論に着手。例年、年末にまとめる年度改正に向けて秋に始動する自民税調が異例の時期に動き出したのは、税収減への懸念などから早期引き下げへの慎重論が根強いためで、首相官邸の動きをけん制する狙いがある。
 法人実効税率引き下げを巡っては、甘利明経済再生担当相が仕切り役を務める経済財政諮問会議や経済産業省、経済界が積極論を主張。企業の国際競争力を高めるためには、現行の法人実効税率(35.64%)を中国や韓国並みの25%程度まで引き下げることが必要との立場で、6月にまとめる経済財政運営の基本方針「骨太の方針」に目玉として盛り込みたい考え。菅義偉官房長官も来年度からの減税実施を主張している。
 一方、自民税調と財務省は「税率を下げても効果は不透明」「代替財源なき減税は財政再建への姿勢が問題視される」として早期の引き下げ実施に慎重な立場。自民税調は、骨太の方針決定前に考え方を示し、代替財源の確保が必須とクギを刺す方向だ。
 有識者らで構成する政府税制調査会(首相の諮問機関)の下部組織も税率引き下げの場合の財源について検討を開始しているが、10%の減税で約5兆円の税収減となることから、代替財源を見つけるのは容易でない。
 ただ、首相の意向を踏まえ、骨太の方針では何らかの方向性は示さざるを得ない情勢。減税のスタート時期や手法を巡り、どこまで明確な文言が盛り込まれるかが焦点となる。

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<タックスワンポイント>

登録免許税が一部変更  住宅購入時に負担軽減

 2014年度税制改正により、「特定認定長期優良住宅」と「認定低炭素住宅」の所有権の保存・移転登記での登録免許税の軽減措置が16年3月31日まで2年間延長され、また「特定の増改築等がされた住宅用家屋」の所有権の移転登記の登録免許税の軽減措置が新設された。
 特定認定長期優良住宅は、所有権の保存登記が本則0.4%、一般住宅0.15%から0.1%に、マンションの所有権移転登記が本則2.0%、一般住宅0.3%から0.1%に、戸建住宅の所有権移転登記が本則2.0%、一般住宅0.3%から0.2%に、それぞれ軽減される。
 認定低炭素住宅は、所有権の保存登記が本則0.4%、一般住宅0.15%から0.1%に、所有権の移転登記が本則2.0%、一般住宅0.3%から0.1%に、それぞれ軽減される。また、特定の増改築等がされた住宅用家屋の所有権移転登記の軽減措置が新設され、本則2.0%、一般住宅0.3%から0.1%に軽減されることになった。適用期間は今年4月1日~16年3月31日まで。これは、宅地建物取引業者が工事費用の合計額が100万円超の「大規模修繕要件」や工事費用の額が50万円超の「住宅性能向上要件」などを満たす増改築等をした住宅用家屋(特例の適用を受けようとする個人が取得する前2年以内にその宅地建物取引業者が取得したもの)であることが要件となっている。
 なお、これらの軽減措置の適用を受けるためには登記の申請書に住宅用家屋の所在地の市区町村長の証明書(住宅用家屋の床面積が50㎡以上であることなどの一定の要件を満たす場合)を添付した上で、その住宅用家屋の新築または取得後1年以内に登記を受けなければならない。

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