<タックスニュース>

外形標準課税、賃上げ企業は軽減  15年度税制改正大綱に

 政府・与党は、法人税改革の主要課題である法人事業税(地方税)の外形標準課税の拡大に関連し、賃上げをした企業の税負担を軽減する方向で検討に入った。国税で導入している「所得拡大促進税制」の賃上げ基準をクリアした企業を対象とする案が有力で、来年度から数年間の限定措置とする方向。年末までに詳細を詰め、2015年度税制改正大綱に盛り込む。
 政府は、法人税の実効税率(標準税率34.62%、東京都35.64%)を来年度から数年で20%台まで引き下げる方針を決めている。法人実効税率を1%引き下げると約4700億円の税収減となるため、年末の税制改正に向けて代替財源の確保が焦点となっている。
 外形標準課税は、法人の黒字・赤字にかかわらず従業員への給与総額や賃借料などをもとに課税する仕組み。所得を課税対象とする法人実効税率の枠外のため、政府は主要な代替財源として外形標準課税の拡大を検討している。ただ、今の仕組みでは収益拡大を受けて賃上げをした場合は増税となるため、経団連などが「所得拡大の流れに逆行する」と反発していた。
 政府が検討している新たな制度は、「アベノミクス税制」の一環として2013年度から導入された所得拡大促進税制を参考に、一定の基準を超えて賃上げした企業の外形標準課税を軽減するとの内容。所得拡大促進税制は、基準年の12年度と比べ、給与総額を15年度は3%、16~17年度は5%拡大した企業を対象に法人税負担を軽減する措置で、この基準を準用する案が有力だ。
 政府はすでに、外形標準課税の中小企業への適用拡大について来年度は見送る方針を決めており、賃上げ企業への配慮もあわせて実施することで経済界の理解を得たい考えだ。

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<タックスワンポイント>

定住支援で受け取った「助成金」  税法上の取り扱いは?

 住宅を購入するにあたっては、「価格」「間取り」「環境」がまず条件に挙がるだろう。マンションなら「部屋の方角」も重要だ。子育て世帯なら病院や学校などの環境や、地域の子育て支援も気になるところだ。若い世代の中にはカフェや深夜営業の飲食店が充実している街かどうかもポイントになるかもしれない。住宅選びは自分や家族のライフスタイルによってさまざまだ。
 少子高齢化が進む自治体の中には、人口減対策の定住支援を行うところも多い。例えば住宅購入にあたっての一定額の購入資金を支給しており、住宅購入支援がある地域かどうかを住宅選びの選択肢に加える人もいる。「人生で最も高い買い物」といわれている住宅購入に有利な情報は知っておきたい。
 例えば、北海道北広島市の「ファーストマイホーム支援制度」は、今年9月から募集を行い1カ月半ほどで募集枠に達するという反響があった。同制度は市内に初めて住宅を購入した人に50万円を一括支給するというもの。対象は18歳以下の子どもがいる50歳未満の人、3年以上住むことが条件で、新築か中古かは問わない。今回、予定募集枠30件のうち商業地域の大曲地区では11件が決まった。同市は引き続き募集を行うという。
 富山県高崎市では「まちなかの居住支援」といった、市街中心部を活性化させる目的の定住支援を行っている。支給限度額は新築で100万円、中古住宅で50万円。マンションなどを建設する法人にも5000万円まで補助するという。
 ところで自治体から住宅購入のために受け取った助成金は一時所得になる。一時所得は特別控除額が50万円になるため、その年の一時所得の総額が50万円までであれば確定申告は不要だ。万が一、助成金を受け取った後に単身赴任や子どもの進学などの事情で市外へ転居する場合は、地域によっては助成金の返還はしなくてもよいなどの特例もある。

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