Vol.0297
<タックスニュース>
地方拠点強化税制 YKKが優遇第1号候補
ファスナー製造の大手「YKK」が、企業の地方移転を後押しする地方拠点強化税制の税優遇適用第1号の候補に挙がっている。一部報道で明らかになった。同社は2011年頃から本社機能の分散や移転を進め、今後も管理部門など本社機能の一部を生産拠点のある富山県に移管する予定としている。現在開催中の通常国会で関連法が成立した後、適用申請をする見通しだ。
平成27年度税制改正大綱に盛り込まれた地方拠点強化税制は、東京に本社を置く企業が地方に本社機能を移転する場合や、すでに地方にある企業が機能を強化する場合に税優遇を与えるもの。平成30年3月31日までに移転計画の承認を受けた企業を対象に、承認から2年以内に取得して事業の用に供した建物や附属設備、構築物について、東京など大都市圏から地方に移転させるケースでは特別償却25%または税額控除7%(承認が29年度なら4%)、すでにある地方拠点を強化させるケースでは特別償却15%または税額控除4%(同2%)を認める。その際、取得する建物などの合計額が2千万円(中小企業は1千万円)以上であることが要件となる。設備投資だけでなく、雇用の面でも優遇措置が創設された。地方拠点での雇用を増やした場合、一定の要件を満たすことで雇用増1人あたり最大50万円の税額控除を受けることが可能だ。東京・大阪・名古屋など大都市圏からの移転なら、さらに30万円の税額控除が上乗せされる。
政府は地方移転企業への税優遇を拡充することで、首都圏への人口・企業の一極集中を是正したい狙いがある。11年の東日本大震災以降、リスクマネジメントの観点から機能を地方に分散させる企業が出てきており、税優遇の内容次第では今後さらに企業の地方移転が増える可能性もある。
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<タックスワンポイント>
NISA 2年目の非課税枠で好調スタート
日本証券業協会は2月18日、少額投資非課税制度(NISA)を利用した投資総額が1月だけで2627億円となり、制度が開始した昨年1月以降の単月ベースでは最高を記録したと発表した。年が明けて今年分の非課税枠が利用できるようになったことで、口座を持つ投資家たちが新たに投資を始めたことが理由とみられる。1月単月で新規に約8万口座が開設され、それ以外にも約4万の「開設したまま眠っていた口座」で投資が開始されるなど、利用拡大に向けて2015年の好調なスタートを切った。
調査は主要証券会社10社を対象に行ったもの。これでNISA総口座数は、1月末時点で414万3836口座となった。また口座の稼働率も46.8%と、昨年末から1.7ポイント増加した。
1月のNISA利用が伸びたのは、15年分の非課税枠が新たに開放されたためだ。去年、上限として設定されている100万円いっぱいまで投資を行った人も、年が明けた1月からは新たに今年分の100万円を投資運用することができる。すでに去年からNISA口座を持っていた投資家が活発に動いたことが投資総額増の主因だろう。
NISAの非課税枠は現在100万円だが、16年からは120万円に引き上げられる予定となっている。月10万円ずつの投資で枠を使いきりやすくする狙いで、金融界などからの強い要請を受けて、平成27年度与党税制改正大綱に盛り込まれた。また20歳未満を対象とする子ども版NISAも創設する予定だ。
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