Vol.0306
<タックスニュース>
「極ZERO」国税庁115億円返還せず 酒税分類めぐり追納
サッポロビールの商品『極ZERO』をめぐり、納め過ぎていたとして税金約115億円の返還を求めていた問題で、同社は国税庁から「返還しない」と通知されたことを4月28日明らかにした。この115億円は、サッポロが「第3のビール」として売り出した『極ZERO』に対して国税庁から「発泡酒にあたる可能性がある」と指摘を受け、酒税の差額分を自主的に追納していたもの。
『極ZERO』は2013年に発売された。順調に売り上げを伸ばしていたが、14年1月に国税庁から「『極ZERO』が第3のビールではなく(税率の高い)発泡酒にあたる可能性がある」として製法を照会された。
ビール類は原材料や製法の違いで税額が異なり、1缶350ミリリットルあたり、麦芽が主原料で麦芽比率3分の2以上の「ビール」は77円、麦芽比率3分の2未満の「発泡酒」は46・98円(麦芽比率が25%未満の場合)、発泡酒に蒸留酒を加えたり、麦芽以外を原料にしたりした「第3のビール」は28円となっている。
国税庁の指摘を受けた時点で発泡酒であるとの断定はできなかったものの、確認に時間がかかれば追徴課税の額が膨らむと判断し、同社は14年6月に『極ZERO』の販売を休止。酒税の差額分115億円と、延滞税1億円を追加納付し、その後、発泡酒としてあらためて『極ZERO』を発売していたが、今年1月に入り、同社は社内調査で第3のビールである確証が得られたとして、国税庁に対して115億円の返還を要求したことから、注目が集まっていた。
返還を拒否した理由は明らかにされておらず、同社は「内容を精査した上で、外部の専門家も含めて対応を検討したい」とコメントしている。今後、異議申し立てなどを行い、再度返還を求める可能性もあり、業界内外に衝撃を与えた『極ZERO』問題はまだ続きそうだ。
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<タックスワンポイント>
ウインドウズサーバー2003終了 この機会に攻めの”IT化”に
来年1月からいよいよ実施される共通番号(マイナンバー)制度。従業員やその家族、取引先など、自社と関わる幅広い領域に影響が及ぶものだ。マイナンバー対策に関する投資は「生産性を生み出さないコスト」と捉える経営者が多いのは確かだが、情報漏えいが発覚した場合は厳重な罰則もあるため無視はできない。経営リスクの一つと念頭に置いて取り組むべきだろう。
とはいえ、どこまで対策を講じればいいのか分からないと悩む企業は少なくない。実際には必ずしも大がかりなシステムが必須というわけではないという。「いまの管理体制にもうひとつ上乗せしたもので問題ない」という専門家もいる。できる限りコストをかけずに行うためにも、使える制度は知っておいて損はない。
新しく設備導入を検討する時の税制優遇措置にも活用の幅は広がっている。制度に対応した人事や給与システムを再構築する時にソフトウエアを購入する場合は、中小企業投資促進税制の「上乗せ措置」も活用したい。中小企業投資促進制度は、機械措置などの設備を取得した時に、取得価額の30%の特別償却または7%の税額控除が適用されるものだが、購入設備が、生産性向上設備投資促進税制の対象機器などに該当すればさらに上乗せの措置がある。マイナンバー制度に対応する最新のソフトウエアを購入する際はぜひ検討したい。取得価格の要件は、ソフトウエアであれば1個あたり30万円以上で、1事業年度内で合計取得価格が70万円以上となる。
今年の7月にはウインドウズサーバー2003の終了も控えている。昨年4月はウィンドウズXPのサポート終了に伴いPCの入れ替え作業に苦労した企業も多いだろう。一息ついたところで、まだ頭の痛い問題だ。昨年は、駆け込み購入なども活発になっていたものの、リスクがあると分かっていながら使用続けている企業も少なくなかった。今回はサーバーのサポート終了ということで、サポートが切れたサーバーを使用し続けることでリスクも高まる。セキュリティーが脆弱化したサーバーは情報漏えいのリスクの温存となる。他社のサーバーや社内サーバーなどに入れ替えや移行を検討したい。
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