<タックスニュース>

諫早湾干拓  国の制裁金は課税所得!?

 諫早湾の干拓事業をめぐる訴訟で、原告側の漁業者が国から受け取った制裁金に対して国税庁が所得税を課税する見解を示していることが4月14日分かった。漁業者側は所得にはあたらないと反発している。
 諫早湾をめぐっては、国による干拓事業のせいで海産物が獲れなくなったとして漁業者側が国を提訴し、福岡高裁が開門調査を命じる判決を平成22年に出している。しかし開門すると堤防内にある調整池の水が使えなくなるため、農業に被害が出ると主張する営農者らもおり、長崎地裁は開門差し止めの仮処分という逆の判断を下している。こうした経緯を受けて国が開門を行わないため、漁業者側が訴えを起こしたところ、佐賀地裁は国に制裁金の支払いを命じた。
 制裁金は26年6月から原告1人あたり1日1万円が支払われ、27年3月からは倍額の2万円が支払われている。支払われた制裁金は27年3月末時点で計1億3500万円に上るが、今後の司法判断次第では返納を求められる可能性があるため、漁業者側は制裁金を配分せずに弁護団長の個人口座にプールしているという。
 国税庁はこの1億3500万円が「漁業者の個人所得にあたる」として、昨年夏に漁業者側に所得税の納付義務があるとする見解を通知した。漁業者側は申告したものの、国の制裁金が所得にあたるとの判断には反発。弁護団の馬奈木昭雄団長は「脱税を回避するために申告はしたが、いずれ争うつもり」とコメントした。
 所得税法では損害賠償金などを非課税対象とする除外規定があるが、制裁金についての規定はない。

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<タックスワンポイント>

燃料電池車が400万円で買える!?  法人も対象

 安倍晋三首相は4月13日、日本初となるショールームを併設した「水素ステーション」の開所式に出席した。総合エネルギー事業を展開する岩谷産業が運営する水素ステーションに、トヨタ自動車のショールームが併設されている。首相は「本格的な水素社会の幕開けの象徴。全国76カ所で水素ステーションを整備することが決まり、世界にも類のないスピードと規模で水素エネルギーのインフラが動き出し、日本は水素エネルギー革命のフロントランナーとなったと言ってもいい」と述べ、燃料電池自動車(FCV)や水素ステーションの普及、推進に意欲を示した。
 燃料電池自動車とは、水素と酸素の化学反応による電気エネルギーで走る自動車で、水素ステーションで燃料を補給することになる。排気ガスや二酸化炭素を排出せず、究極の次世代エコカーとして期待されている。
 だが、1台700万円以上という販売価格の高さに加え、水素ステーションの整備にかかるコストが普及を遅らせている要因だとして指摘されている。水素ステーション建設には1カ所あたり4~5億円かかり、費用の約半分を国が補助している。
 東京都では「2020年までに都内の普及台数を6000台にする」と具体的な目標を掲げている。政府が推進する「水素社会」の実現に向けて、都でもFCVの普及促進に取り組んでおり、国の補助金の半額を出すなど、事業者や個人を対象に購入費用を補助する事業を行っている。
 仮に、販売価格が723万円程度のFCVを購入すると、都の補助金は1台あたり101万円で、国の補助金(202万円)と併せると、実質的な自己負担は約420万円ということになる。なお国の補助額は車両によって異なり、最大202万円となっている。東京都の他、神奈川や埼玉などでも同様な制度が実施されている。

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