<タックスニュース>

ふるさと納税返礼品  市川市で「Tポイント」打ち切り

 千葉県市川市は7月1日、ふるさと納税への返礼品として「Tポイント」を贈る特典を7月31日で終了すると発表した。総務省から「換金性の高いプリペイドカードに類する可能性がある」として自粛要請を受けていたもので、Tポイントカードが6月末からプリペイドカードとしても全国で利用できるようになったことを受け、取りやめを決定した。
 ふるさと納税制度では自治体は寄付者に対して返礼品を贈ることができる。しかし寄付金集めのために返礼品が高額化していることや、特産品と関係のない電子マネーを贈る自治体が出たことから、平成27年4月に、返礼品の価格表示や換金性の高いプリペイドカードなどを返礼として贈らないよう総務省から全国の自治体に通知を出していた。
 市川市は総務省の通知に対して「ポイントは換金できず、プリペイドカードでもない」として付与を続けていたが、6月30日から全国のコンビニエンスストアなどでTポイントカードが電子マネーとしても使えるようになったことを受け、打ち切りに踏み切った。大久保博市長は「Tポイントを取り巻く環境が変化した。継続は好ましくないと判断した」とコメントしている。
 Tポイントはカルチュア・コンビニエンス・クラブが展開するポイントサービスで、全国のファミリーマートやTSUTAYAで、ポイントを代金の代わりとして充当することができるもの。
 市川市では1万円以上の寄付についてTポイントを2000ポイント付与するサービスを平成25年7月にスタートし、寄付額は24年度の約320万円から、26年度には約4300万円へと急増していた。

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<タックスワンポイント>

戦略特区でエンジェル税制導入  個人投資家に税優遇

 ベンチャー企業に投資する個人を対象に税優遇を設けた「エンジェル税制」が、2015年度税制改正で拡充された。同税制は投資したときと株式を売却したときの2段階で優遇を受けられることが特徴となっている。
 投資時点で受けられる優遇内容は、創業3年未満の中小企業への投資を対象として投資額から2千円を引いた額をその年の総所得金額から控除できるものと、創業10年未満の中小企業への投資を対象として投資額全額をその年の他の株式譲渡益から控除できるものの2種類があり、それぞれ要件が異なる。例えば創業3年未満の企業を対象とした特例を適用するためには、対象の企業が大規模法人の子会社でないことや、風俗営業などを事業として行う企業でないことに加えて、直前期までの営業キャッシュフローが赤字であることが求められる。資金繰りに苦しむベンチャー企業にとっての救い主、つまり「エンジェル」であることが、税優遇を受けるための条件となるわけだ。
一方、創業10年未満の企業を対象とした特例なら、大規模法人の子会社でないなどの共通項目はあるものの、こちらでは試験研究費が収入金額の一定割合以上を占めていることなどが主な要件となっている。どちらの要件も満たしている場合は総所得金額や他の株式譲渡益などの状況からメリットの大きい方を選択できるが、総所得金額の控除では「総所得金額×40%と1千万円のいずれか低い方」という上限があることに注意したい。
 次に、売却時に受けられる優遇は、売却によって生じた損失を他の株式譲渡益と相殺できるものだ。売却した年に相殺しきれなければ、翌年以降3年にわたって順次相殺することもでき、投資した企業が上場しないまま破産や解散などをして株式の価値がなくなったときも、同様に損失の相殺や繰越ができるようになっている。投資時と売却時の2段階での税優遇を設けることで、ベンチャー企業への投資を促進したい思惑がある。
 15年度税制改正では、安倍政権が推進する「国家戦略特区」構想を踏まえ、特区内にある企業を同税制の対象とする内容が盛り込まれた。対象となるのは①高度な医療技術の研究開発を行う企業、②付加価値の高い農林水産物の効率的な生産技術を研究開発する企業、③農地法などの特区特例の適用を受けた特例農業法人、④雇用の創出に関わる事業を行う企業―の4種類。①~③は創業5年未満、④は創業3年未満の中小企業が対象となる。それぞれ設立してからの年数に応じて、研究者の数、利益率、試験研究費の割合、設立時従業員数など税優遇を受けるための要件が細かく分かれているので気を付けたい。
 また6月19日に成立した第5次地方分権一括法では、エンジェル税制で対象企業に投資を行われたかどうかなどの確認事務が、国から都道府県に移譲された。自治体が主体的に地域のベンチャー企業を支援に関わることで、地方創生につなげていくことを促す狙いがあるとみられる。

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