Vol.0316
<タックスニュース>
税収21年ぶりの高水準を記録 消費増税が大きく影響
財務省が7月3日発表した2014年度の国の一般会計決算(概要)によると、税収は前年度比4・9%(7兆177億円)増の53兆9707億円だった。これは1993年度(54兆1262億円)以来21年ぶりの高水準。ただ、財務省は増加分のうち5兆円弱は14年4月の消費増税によるものとみている。
税目別にみると、所得税は前年度比8・1%(1兆2594億円)増の16兆7902億円、法人税は5・1%(5378億円)増の11兆316億円、消費税は48%(5兆1996億円)増の16兆289億円。
所得税は好調な企業業績を受けて株式の配当や売買が活発だったことから、1月時点の見積もりから9732億円上振れした。上振れが6900億円に上った消費税は訪日外国人の増加が貢献した。訪日外国人向けの消費税免税店以外でも、飲食店、交通機関、宿泊施設などでの消費が活発で、上振れのうち1000億円が訪日外国人によるものという。
一方、法人税は日本企業の稼ぎは海外子会社による部分も大きく、連結決算の好業績が税収に直接反映されにくくなっている。上振れの5186億円も一時的な要因が大きく、うち約2000億円は日銀が急激な為替変動による損失に備えて引当金を計上したことに伴うものだ。消費税の上振れが大きいのは1997年度の増税時に納付率が落ちたことを踏まえて財務省が慎重に見積もったためだ。
上振れの総額は2兆2447億円。財務省はこのうち1兆円が一時的な要因によるもので、残り1・2兆円が今後の税収増を見積もるベースになるとみている。
今回の税収増を受けて、2014年度の国債発行額は見積もりより2兆円少ない38兆4929億円と6年ぶりに30兆円台に抑えられた。決算後に余る純剰余金は1兆5808億円となり、財政法に基づき、このうち少なくとも半分は国債の償還に充てられるが、残りについては16年夏に参院選を控えているだけに、政府・与党内で歳出圧力が強まりそうだ。
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<タックスワンポイント>
2016年1月に制度スタート マイナンバービジネス続々
2016年1月の運用スタートを控え、マイナンバーに関連したビジネスが次々に立ち上げられている。従業員の個人番号の管理代行や、情報漏えいに備えた新しい保険商品など、さまざまな分野で新たな収益を狙う。またこれを機会に顧客層を拡大し、ほかの自社サービスに誘導したい思惑もあるようだ。
マイナンバーは特定の個人情報を含むため、取り扱いにあたっては厳格な安全措置をとることが企業には義務付けられている。しかし中小企業では人員的な事情から十分な対応が難しく、番号通知開始まで3カ月となってもほとんどの企業が対策できていないのが現状だ。また大企業でも、規模が大きいほど対応にかかる費用が増大するため、今後の運用にかかる人的、金銭的なコストも含めれば自社での対応には限界があると考える企業も多い。
そうした需要を商機と捉え、国内IT大手は次々と「マイナンバー管理代行サービス」を打ち出している。富士通、NECの両社は15年に入ってすぐにマイナンバー関連サービスを発表。マイナンバー法に対応したシステム構築に加え、個人番号の登録、保管、申告業務までを幅広く代行する。さらに従業員へのマイナンバー研修まで行うサービスも実施するという。
7月には日立製作所が参入を発表したことで、国内のIT大手3社が出そろった。日立はマイナンバー収拾から保管、廃棄、法定調書の印刷代行までをカバーする。e―Taxでの税務申告にも対応しているという。そのほか、キヤノン、NTTデータなどもそれぞれマイナンバー対応サービスを発表しており、マイナンバーを一大商機と捉えたIT企業の競争はしばらく続きそうだ。
一方、損害保険会社大手の損保ジャパン日本興亜は、情報が流出した際の被害を補償する新たな保険を発売する。企業が管理する従業員の個人番号が不正アクセスやウイルスによって流出したときに、システム改修費、損害賠償の訴訟費用、情報が流出した社員の金銭的被害などを対象にするという。マイナンバー制度の開始を間近に控えて企業ではサイバー攻撃に対する危機感が高まっており、今後もそうしたニーズを見込んだ保険商品が各社から発売されることが予想される。
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