<タックスニュース>

軽減税率の財源検討、選挙後に先送り  野党追及も議論深まらず

 消費税の軽減税率の財源をめぐって国会で激しい論戦が続いている。夏の参院選をにらみ、民主党など野党が安倍政権との対決色を強めているためだ。しかし、政権側は財源についての具体的な検討を参院選後に先送りする方針を固めており、議論は深まっていない。
 軽減税率の導入に必要な財源は1兆円。このうち確保できているのは、医療・介護・保育などの自己負担総額に上限を設ける「総合合算制度」の導入見送りで得られる4000億円のみ。政府・与党は2016年度末までに軽減税率に必要な安定財源を確保する方針を掲げており、残り6000億円については見通しが立っていない。
 民主党は軽減税率のために社会保障財源が削られる可能性があるとして連日追及している。しかし、安倍晋三首相は「必要な社会保障費を切ることはしない。6000億円の安定的な財源はしっかり確保していく」と抽象的な答弁を繰り返すばかり。「現時点では具体的な措置内容が念頭にあるわけではない」とも語り、今後検討していく方針を示している。
 これに関し、首相は16年度予算案で見積もった一般会計の税収は安倍政権誕生前の12年度予算案より21兆円増加していることから、税収増の一部を安定財源とみなす考えを示唆した。月内に経済財政諮問会議を開き、議論を始める方針だ。
 また、安定財源の候補として新たな増税や歳出カットも検討される見通しだ。ただ、国民に痛みを求めることになるため、具体的な検討は参院選後に先送りする方針だ。参院選前の明示を求める民主党などを尻目に、政府高官は「1年かけてゆっくり考えればいい」と語った。

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<タックスワンポイント>

三世代同居リフォーム  税額控除が可能に

 総務省統計局の資料によると、築25年以上の住宅は全体の52%を占めるという。その内、木造住宅の割合は59%であり(2010年時点)、国土交通省の定義する木造住宅の耐用年数が22年であることを考慮すると、全面的な建て替え、もしくは大規模なリフォームを必要とする住宅が相当数に及ぶことが推測される。またライフスタイルの変化や家族の事情に合わせて二世帯や三世帯の同居に対応する改築も増えていくことは間違いないだろう。
 昨年末に決定した16年度税制改正大綱では、住宅を三世代同居のために改修工事をすると所得税が軽くなる特例が登場した。16年4月1日~19年6月30日までに台所や浴室、トイレ、玄関などを増設して、工事費用(相当額)の合計額が50万円を超える工事が対象となる。
 所得税額から控除される額は、住宅ローンを利用した工事費用(250万円限度)に相当する住宅借入金等の年末残高の2%と、それ以外の住宅借入金等の残高の1%の合計額だ。控除期間は5年で、最大控除額は62・5万円となる。
 また税額控除は住宅ローンを利用しなくても受けることができる。現金一括払いで、三世代同居改修工事をすると、工事費用相当額(250万円限度)の10%に相当する額がその年の所得税額から控除される。該当年の合計所得金額が3000万円を超えるときには控除制度が適用されないので注意したい。

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