Vol.0337
<タックスニュース>
国税庁16年度予算 国際化と消費税対策に新ポスト
国税庁は12月24日に、2016年度の予算と機構についての概要を発表した。それによると、16年度の国税庁の予算は7034億6900万円で、15年度当初予算の7073億5100万から38億8100万円少なく、0・5%減った。15年度より金額が増加したのは、情報化経費、納税者利便向上経費、国際化対策経費などだった。
また人員面では、海外取引の多様化や国際租税回避行為に対応するため、国税庁に「国際企画調整官(仮称)」の新ポストを増設する。また役職は新たに作らないものの、17年4月の消費増税と軽減税率導入への対策として、庁課税部課税総括課に「消費税軽減税率制度対応室(仮称)」を新設する。そのほかにも各地の国税局や税務署に国際税務専門官、主任国際情報審理官、国際情報審理官を増員するなど、国際化への対応を重要テーマとしてみていることが分かる。
国税組織全体の定員は5万5666人となり、前年度より24人のマイナスとなった。
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<タックスワンポイント>
生産性向上設備税制 2016年度が税優遇ラストイヤー
生産性を一定以上向上させる設備を新たに購入したときに税優遇を認める「生産性向上設備投資促進税制」が、2016年度を最後に廃止される。適用のハードルが低いことから多くの中小企業に利用されてきたが、15年末に決定した16年度税制改正大綱に、もともと設定されていた期限である17年3月末日をもって終了することが盛り込まれた。設備投資を考えている企業は、16年が税優遇のラストイヤーとなることを踏まえ、投資計画を立てていきたい。
生産性向上設備投資促進税制は、業種や企業規模にかかわらず、機械装置から建物、ソフトウエアまで幅広い設備への投資を対象に税優遇を認めるものだ。設備ごとに申請できるA類型と、生産ラインやオペレーション全体を対象とするB類型の2種類があり、A類型は「機械装置」、一定の「工具」、「器具備品」、「建物」、「建物附属設備」、「ソフトウエア」のうち、(1)最新モデル、(2)年平均1%以上の生産性向上――を満たすものが対象となる。一方B類型は、「機械装置」、「工具」、「器具備品」、「建物」、「建物附属設備」、「ソフトウエア」のうち、投資計画における投資利益率が年平均15%以上(中小企業は5%以上)を満たすものが対象だ。
A類型なら工業会、B類型なら経済産業局に申請して確認を受ければ適用を受けられる。優遇内容は、16年3月末までなら即時償却または取得価額の5%のまたは取得価額の5%の税額控除、ラストイヤーとなる16年4月から17年3月末までは50%の特別償却または取得価格の4%の税額控除が可能となる。中小企業はさらに「中小企業投資促進税制」による上乗せ措置が認められ、資本金3千万円超1億円以下の企業なら取得価格の7%、資本金3千万円以下の企業なら10%まで税額控除の対象となる。
経産省の発表によると、制度開始から1年で同税制はA類型が11万5470件、B類型が4767件利用された。対象者となるための条件が「青色申告をしている法人・個人」のみで業種や企業規模に制限はなく、適用のハードルが低いことが理由だ。中小企業にも多く利用され、製造業を中心に、さまざまな業種で幅広く使われていることが特徴だ。
同税制は、産業競争力強化法の一環として、企業の最先端設備や生産ラインへの投資を促進するための時限措置として創設されたもの。減税効果の高い制度は延長されることも多いが、同税制については「企業の投資判断の前倒しを促す」ためとして、期限通りに終了することとなった。
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