<タックスニュース>

経団連がEUの納税開示義務化に反対  「納税額は企業秘密だ!」

 経団連は4月19日、欧州連合(EU)域内で事業活動をする多国籍企業に対して納税情報などの開示を義務化させる欧州委員会の新規制案に反対する提言を公表した。経団連は「国際協調を逸脱する欧州委の動きは理解できないし、承服できない」(幹部)としており同日、提言を欧州委などにも提出した。
 発端となったのは欧州委が4月12日に公表した新規制案。EU域内で事業を展開し、全世界での売上高の合計が年間7億5000万ユーロ(約922億円)を超える多国籍企業に対して、EU加盟国ごとの納税額や利益などをホームページなどで開示を義務づけるものだ。経団連は提言で欧州委の新規制案について「懸念する」と批判する姿勢を表明。納税額の開示など国別報告事項は「企業の機密情報を含む」として開示に反対した。
 税制の国際ルールづくりを担う経済協力開発機構(OECD)も多国籍企業に納税情報の提供を求める仕組みの導入を決めているが、企業の納税情報は親会社の所在する国の当局間でのやり取りに限ることとされている。原則として外部に情報が流出することはないこととしたため、企業もOECDの枠組みに応じることを決めた経緯があるだけに、経団連は欧州委に対して提言で「国際合意は必ず遵守すべきだ」とした。
 欧州では近年、アイルランドなど一部の国が過度な税制優遇をすることで、米グーグルやスターバックスなどの企業の課税逃れを誘発していたとして問題化していた。加えて、租税回避地(タックスヘイブン)での取引を暴露した「パナマ文書」が明らかになったことで、課税逃れ対策を強化すべきとの議論が加速していた。欧州議会での新規制案の議論に注視が必要になりそうだ。
 また、経団連の提言ではOECDによる取り組みについて「一部の多国籍企業による過剰な節税策の抑制、企業間の競争条件の均衡化につながる」として一定の評価を示した。一方で「国際協調を反故にする一国主義的な動きがでる場合には、事務負担の一層の増大に加え、二重課税のさらなる拡大が懸念される」として多くの国がOECDの枠組みに参加することが不可欠とした。

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<タックスワンポイント>

いつでも納められる国税のコンビニ納付  窓口で並ぶ必要なし!

 国税の納付のために郵便局や銀行を利用しようとすると、窓口の対応時間が限られていてなかなか時間が合わせられないことがあるほか、利用者が多くて長い時間待たされることもある。そのようなイライラを避けるためには、インターネット上のモバイルバンキングの利用は有効だ。しかし、機械に慣れていない人やインターネットのセキュリティーに不安がある人はその仕組みを利用できない。
 こうした不満を抱えている人は、金融機関や税務署だけではなく、コンビニエンスストアでも納付(コンビニ納付)できることを覚えておきたい。
 平成20年から国税のコンビニ納付ができるようになり、現在利用できるコンビニチェーンは約20社。買い物ついでなどにあまり並ばずに支払いができるほか、営業時間内であれば土・日、夜間を問わず納付できる。
 確定した納付税額が30万円以下のときに、納税者が納付書の発行依頼をすることでコンビニ納付ができる。このほか、所得税の予定納税、催促・催告による納税、加算税でも利用可能だ。税務署が発行するコンビニ支払い用のバーコード付き納付書を、コンビニ納付が可能なコンビニチェーンに持って行けば、税金を納めることができる。

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