<タックスニュース>

期待外れのジュニアNISA  煩雑な手続きがハードルに

 日本に住む0~19歳の未成年者を対象とした少額投資非課税制度(ジュニアNISA)が4月に本格始動して1カ月あまり。政府や関連業界は「貯蓄から投資へ」の流れを促し、アベノミクスを下支えしたい考えだが、制度の複雑さなどから口座開設の動きは勢いを欠いている模様だ。
 ジュニアNISAは、幼い子や孫など未成年者の名義で親や祖父母などが口座を開くと、年間80万円まで株式や投資信託などを購入でき、得られた配当や売却益などが最長5年間、非課税になる制度。口座開設の受け付けが2016年1月に始まり、4月から実際の投資が可能になった。
 ジュニアNISAの口座開設状況に関する公式なデータは現時点でまとまっていないが、日本証券業協会によると「出足は極めて鈍い」(稲野和利会長)という。国内大手証券会社の幹部も「問い合わせはあるが、実際に口座を開いて投資する動きにまで広がっているとは感じない」と話す。14年に始まった成人向けのNISAでも、開設された口座の約半数が取引のない「休眠状態」とも言われる。
 世代間で資産を移転し、将来の教育資金の確保などに役立ててもらうことを狙ったジュニアNISA。制度が思うように普及しない背景には、仕組みが複雑で、必要書類が多いなど手続きも煩雑な点がハードルになっている。口座の資金は、成人向けNISAではいつでも引き出し可能なのに対し、ジュニアNISAでは口座名義人が18歳になるまで原則引き出せないのもネックとなっている。また、名義人は子どもで、親が運用を管理し、資金は祖父母が出すなど3世代が関わる場合、意見調整に手間取るケースも少なくない。
 政府内では、1700兆円に上る日本の個人金融資産の半分以上を占める現預金を念頭に「”山”は簡単には動かないのか…」(金融庁幹部)とため息も漏れ始めている。


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<タックスワンポイント>

年をまたいだ医療費控除  一時金は割合で按分

 医療費控除制度では年間10万円を超えた分の医療費を所得から差し引ける。だが健康保険組合や共済組合から出産育児一時金などを受け取っていれば、実際にかかった医療費から給付分を引かなければならない。このとき、入院が年をまたいでいるときは計算が複雑になるので気を付けたい。
 2016年から17年にかけて年またぎで入院して出産をした場合、「16年支払分」と「17年支払分」で分割して医療費控除の計算をすることになる。このとき医療費から差し引く一時金の金額は、等分でもどちらか一方の年分でもなく、かかった医療費の割合に応じて按分することになる。具体的には、受け取った一時金が30万円で、16年に支払った額が出産費用全体の4割、17年が6割だとするなら、それぞれ16年の医療費から12万円、17年の医療費から18万円を差し引くことになる。

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