<タックスニュース>

政府はパナマ文書の徹底調査を  サミット議長国としての責任を果たせ

 タックスヘイブン(租税回避地)に関する秘密データ、通称「パナマ文書」について、法律家などで組織する「公正な税制を求める市民連絡会」は4月27日、参議院会館で緊急記者会見を開き、その全容について日本政府による徹底調査を求める声明を発表した。
 共同代表の宇都宮健児弁護士は、「タックスヘイブンであるケイマン諸島に日本企業が保有している投資残高は65兆円にも上る。こうした資金に適正な課税をすることで、常に財源不足と言われて切り捨てられてきた社会保障の財源は十分に賄える」と、海外へ逃れていく不当な隠し資産へ課税できるシステムの構築を訴えた。また大企業が課税を逃れることで「そのツケは中小企業や一般国民が払わされている」と、税制の不公正を強調した。
 タックスヘイブン問題に詳しい研究者の合田寛氏は、タックスヘイブンが麻薬取引や武器の密輸などで得た売上の洗浄にも利用されてきたことなどを報告。法律事務所だけでなくメガバンクや会計事務所など、多くの仲介業者によって重層的に支えられている構図を解説した。
 また、最低賃金1500円の実現を目指す団体エキタスの藤川里恵さんは、奨学金の返済に苦しむ学生の実情を報告。「普通に働けば、たまにCDを買ったり、友人と飲みにいったりできるような、当たり前の生活ができる社会にしたい」と語った。
 声明では、パナマ文書の把握と課税を逃れている企業や資産家に対する徹底した調査を実施して適正な課税をするとともに、5月に開催される伊勢志摩サミットの議長国として、タックスヘイブンをなくすための国際的合意が実現できるよう主導的な役割を果たすことを求めている。

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<タックスワンポイント>

社員の食事代を会社が負担  補助分が多ければ課税

 会社から「給与」として支給されるものではなくても、給与と同等の利益を社員が受けられると税務署に判断されるようなものであれば給与課税される。毎日の食事代を全額補助していれば課税対象だ。
 しかし、会社が社員に支給した食事であっても、(1)社員が食事の価額の半分以上を負担している、(2)「食事の価額-社員負担額」が1カ月あたりで3500円(税抜き)以下――といった要件を満たせば、給与課税されない。
 この要件に該当しなければ、食事の価額から社員負担額を差し引いた金額が給与として課税される。例えば、1カ月の食事額が5千円のときに社員に負担させた額が2千円のときは、(1)を満たしていないことになり、差額の3千円は課税対象だ。
 なお、社員食堂で会社が作った食事を支給しているときの「食事の価額」は、食事の材料費や調味料など食事を作るために直接掛かった費用の合計額となる。また、残業や宿日直をするときに支給される食事は、無料であっても給与課税されない。

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