<タックスニュース>

概算要求基準で1億総活躍に特別枠  アベノミクス成果の活用には慎重論も

 政府の経済財政諮問会議(議長・安倍晋三首相)が7月13日に開かれ、民間議員からは政府の看板政策である子育てや介護などの「1億総活躍社会」の実現に向け、2017年度予算で特別枠を設けるべきとする提案が出された。専用の枠を設けることで保育士や介護士の待遇改善といった恒久的な対策を確実に実施していくのが狙い。民間議員は財源として税収増など「アベノミクスの成果」の一部を活用することも求めた。ただ、会議では麻生太郎財務相が「将来的なことを考える場合は安定したものを前提にすべき」とけん制するなど「成果」が持続可能なものかどうかをはじめ、考え方をめぐっては政府内では温度差もある。
 民間議員の提案では、各省庁が来年度の予算を財務省に要求する際の基準である概算要求基準のなかで特別枠を示すように主張。15年度税収のうち、翌年度以降は見込めない数百億円の特殊要因を除いた1・7兆円程度が税収の底上げ分に相当し、アベノミクスの成果と言えるとした。このうち一部を1億総活躍社会の実現のための施策に活用すべきとした。
 しかし、足元では円高の影響などにより法人税収が減少に転じるなどしており、今後も税収増が続くかどうかは見通せないことから財務省内では新たな特別枠を設けることに慎重な姿勢もある。また、これまで税収増分は赤字国債の減額に使われてきた経緯がある。単純にこれまでと同じような施策を実施するための予算を確保しようと考えれば、赤字国債の増額につながり、財政健全化は更に遠のくことになる。税収増の活用のあり方ばかりを示すのではなく、アベノミクスによる歳出抑制効果についても見える化を図る必要もありそうだ。

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<タックスワンポイント>

最大3千万円の補助金が二次募集  申し込みは8月24日まで

 中小企業のサービス開発、試作品開発、生産プロセス向上などに補助金を助成する「ものづくり・商業・サービス補助金」の二次募集を、中小企業庁が7月8日から始めた。同補助金は平成27年度補正予算で組まれた取り組みの一つで、最大3千万円の補助額が目玉となっている。中企庁は全国で100件程度を採択する予定。
 対象となるのは、経産省の策定した「中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン」に沿った取り組みで、3~5年で「付加価値額」年率3%および「経常利益」年率1%の向上を達成できる計画か、「中小企業ものづくり高度化法」に基づいた特定ものづくり基盤技術を活用した生産性向上計画だ。
 一般型、小規模型の2種類があり、一般型はサービス開発や試作品開発、生産プロセスの改善に必要な設備投資にかかる費用の3分の2を補助する。上限は1千万円となる。また小規模型は、小規模な額で行うサービス開発などの費用を補助するもので上限は500万円となっている。
また別に「サービス・ものづくり高度生産性向上支援」として、インターネットサービスなどのIoT技術を用いて「投資利益率」5%の向上を達成できる計画については、最大3千万円の補助金が助成される。
 これらのうち一般型については、7月1日に施行された中小企業等経営力強化法に基づく「経営力向上計画」の認定を受けることで審査の加点対象となることが、二次募集から追加されている。
経営力向上計画は、税理士など認定支援機関のサポートを受けた上で労働生産性を高める取組計画を策定し、国の認定を受けるものだ。認定されれば、新たに設備投資した機械装置について固定資産税が3年間半額されるなどの優遇を受けられる。
 同計画の認定には最大1カ月ほどかかるため、補助金の申請締め切りに間に合わない場合は、「認定を受ける予定がある」と付記した上で、9月28日までに認定書を申請先の中小企業団体中央会に郵送することが求められるようだ。
 募集期間は8月24日まで。当日消印有効。問い合わせは各地域の中小企業団体中央会まで。

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