<タックスニュース>

所得税の定額減税  与党内でも総スカン

政府が税収増の還元策として経済対策の目玉に据える、所得税などの定額減税と低所得世帯への現金給付の評判が良くない。自民党内からも「引っ込めれば政権が倒れる」と懸念する声が上がる。政権浮揚には、年末にかけて議論される減税や給付の時期などの詳細な制度設計が鍵を握りそうだ。
政府は経済対策で「デフレからの完全脱却」を目指すとぶち上げた。政府案では、定額減税は来年6月、低所得世帯への現金給付は年内開始を目指す。
野党は「即効性を求めるなら一律給付にすべきだ」と国会審議で追求したが、岸田文雄首相は、税収の増加分を「所得税、住民税という形で国民の皆様にお返しする手法が最もわかりやすい」と譲らなかった。
自民党の世耕弘成参院幹事長が「何をやろうとしているのか全く伝わらない」と批判するなど、党内でも岸田首相は求心力を失いつつあるとされる。自民党ベテランは「総理が言い出してしまった以上、やるしかないという空気が漂っているが、諸手を挙げて賛成している人は少ない」と声を潜める。
定額減税は、所得税と住民税から1人当たり計4万円を減税する。政府は納税額が4万円に満たず、減税の恩恵を受けきれない「狭間」の低所得層にも公平な支援を目指している。例えば納税額の1万円から減税して3万円分が余れば、その分の給付金を支給する方向で調整している。
ただ、実施は2025年以降となる可能性もあり、今後の制度設計でどこまで期間を早められるかが焦点となる。税制は与党税制調査会、給付金は内閣府の専門チームが制度設計を担う。
定額減税と現金給付の規模は約5.1兆円。国内総生産(GDP)の押し上げ効果が0.19%にとどまるとの民間アナリストの試算もある。17兆円台前半の経済対策の財源で赤字国債の発行が見込まれるが、岸田首相には財政を悪化させてまで実施する理由を改めて説明する必要がある。

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<タックスワンポイント>

ローンの「借り換え」は本当にお得か  一時的費用も含めたトータルの比較を

メガバンク3行は11月から固定型の住宅ローン金利を引き上げた。10年固定では最大0.15%幅の引き上げとなり、10~12年ぶりの高水準となった。日本銀行の金融緩和政策の修正を受けたもので、今後さらに住宅ローン金利が上がっていく可能性もある。今回の金利引き上げを受けて、わが家の住宅ローンの「借り換え」を検討し始めた人もいるかもしれない。
「借り換え」とは、新たな借入先である銀行からまとまった融資を受け、その資金で今まで借入を受けていた銀行に住宅ローンなどの残債を一括返済することをいう。交渉次第ではあるものの、自行でお金を借りてほしい銀行側としては、ライバルよりも著しく低い金利を提示してくることも珍しくはない。
ただ借り換えを行う際には、残債の繰り上げ返済などに伴う様々な一時的費用が発生することもある。銀行としては返済年数の全期間にわたって利子が支払われる計算で利率を計算しているので、それが減るとなれば損をしてしまう。そのためローン契約書には、繰り上げ返済にかかる手数料や違約金が設定されていることも多い。また既存のローンを組んである銀行に設定された抵当権の抹消登記と、新たにローンを組む銀行への設定登記には費用がかかる。借り換えをする際には、得られるメリットと必要なコストの比較が必要になるだろう。
借り換えをすると一時的に費用がかかるが、現在借りている金融機関に金利を下げてもらうだけなら費用はかからない。借り換えを検討する前に、まずは現在借りている金融機関に交渉してみるといいだろう。

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