<タックスニュース>

「骨太の方針」中小企業の“稼ぐ力”  事業承継・MA・廃業支援で実現!?


 経済財政諮問会議と新しい資本主義実現会議は6月21日、首相官邸で合同会議を開き、「経済財政運営と改革の基本方針」「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画改訂版」について議論。いわゆる「骨太の方針」を取りまとめ、同日、閣議決定した。
 首相は会議のとりまとめ発言で「経済・財政新生計画に基づき経済・財政・社会保障を一体とした改革を進めていく。『経済あっての財政』の考えのもと2025年度の国・地方のプライマリーバランス黒字化と、債務残高対GDP比の安定的な引き下げを目指し、経済再生と財政健全化を両立させる歩みを前進させる。骨太の方針については予算編成や制度改正で具体化し速やかに実行していく」と述べた。  
 骨太の方針では、「豊かさを支える中堅・中小企業の活性化」を重点課題のひとつに据え、①人手不足への対応、②中堅・中小企業の稼ぐ力、③輸出・海外展開――の3テーマへの取り組みを強化していくとしている。
 「中堅・中小企業の稼ぐ力」をテーマとした取り組みとしては、①譲渡担保契約と所有権留保契約に関する法制化の準備、②事業承継・MAの環境整備、③事業承継税制の特例措置の「役員就任要件」の見直し検討、④第三者への承継を促進する税制を検討、⑤MA仲介事業者の手数料体系を開示、⑥MA成立後の実施企業によるPM(ポスト・マージャー・インテグレーション)や設備投資を促進、⑦地域金融機関に対しPMIを含めたM&A支援強化を促進、⑧金融機関が中小企業に対し事業承継やMAに関するコンサルティングを行う際に経営者保証の解除に向けた方策を提案、⑨事業再構築・MA・廃業等について地域の支援機関が連携する相談支援体制を構築、⑩地域経済を牽引する中堅企業や売上1百億円以上への成長を目指す中小企業について関係省庁が連携するビジョンの策定と地方公共団体による支援体制を構築し設備投資やMA・グループ化等を促進――など、事業承継・MAと廃業支援に関するものが中心。骨太の方針では、こうした取り組みによって中小企業の“稼ぐ力”をサポートしていくとしている。

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<タックスワンポイント>

出生していない胎児が有する相続の権利  分割協議は出生後が一般的

民法では「私権の享有は出生により始まる」(第3条第1項)と、母親のお腹の中にいる胎児は権利義務の主体にはなれないことが定められている。だが相続では、妻の妊娠中に夫が死亡した場合、その後に生まれた子どもは亡くなった父親の相続人として財産を受け取れる。
 一見、矛盾する両規定だが、胎児の権利は民法が原則だ。もしも生まれる前から一般人と同様の権利があれば、胎児であっても売買や貸付、贈与も可能になり、あまりにも現実的でなくなる。人としての権利が認められていないため、仮に妊婦が殺害されても、被害者は「一人」だ。
 民法の原則どおりに考えるなら、第一子を妊娠中の妻を残して夫が死亡すると、夫の遺産は妻が3分の2、夫の両親が3分の1という割合で分割される。一方、出生後に夫が死亡すれば、妻と子どもが半分ずつを相続する。両者の時間の差による不合理を避けるため、民法では「胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす」と特別ルールを定めている(886条)。これが、被相続人の死亡後に出生した子どもにも相続権があることの根拠となっている。

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