Vol.0740
<タックスニュース>
関経連 税財政に関する提言 高所得高齢者の年金停止を要望
関西経済連合会(松本正義会長)はこのほど、「社会保障を中心とする税財政に関する提言」を公表した。「中長期的な視点に立った社会保障制度・税財政に関する提言」と「2025年度税制改正に関する要望」がそれぞれ取りまとめられ、社会保障制度・税財政に関する提言では、年金以外の所得が高い高齢者への老齢基礎年金の支給額削減や支給停止を求めている。
提言では、健全な財政構造の構築に向けて「高齢化の進展等に伴い膨張してきた社会保障費の見直しが重要」と指摘。必要とされる程度に応じた給付・負担とするために「年金以外からの所得が一定以上の高齢者を対象とした老齢基礎年金の支給額の逓減あるいは支給の停止」と「公的医療保険における疾患の重篤度や発病確率に応じた自己負担割合への見直し」が必要として、高所得高齢者の負担増を提言した。
社会保障制度・税財政に関する提言ではほかに「現役世代の負担軽減に向けた公的医療保険における自己負担の見直し(全世代原則同率負担)」、「公的医療保険・介護保険における標準報酬月額の上限引き上げ」を主張。社会保障費の伸びを抑制する仕組みづくりに向けては「医療・介護の給付費(対GDP比)に関する目標の設定」、「医療の保険料率のさらなる引き上げを抑える仕組みに関する検討」の必要性を訴えた。
また、2025年税制改正への要望としては、①企業の成長力強化の後押し、②所得拡大の後押し、③地域活性化の後押し――の3本柱を掲げた。その具体策として、①では「中小企業経営強化税制の延長および税額控除の上乗せ措置の創設、中小企業投資促進税制の延長」と「企業が独自に行う人材育成等に関する費用の税額控除、個人が失業・休業中に学び直しをする場合に転職後の収入から複数年にわたってその費用を控除できる『能力開発控除(仮称)』の創設」、②では「企業型DCおよびiDeCoの掛金上限額の倍額程度への拡大」と「子育て世帯の家事・育児関連サービス利用料の税額控除の導入」、③では「企業版ふるさと納税制度の恒久化、適用対象範囲の拡大」と「特定公益増進法人に対する寄附金に関する特別損金算入限度額の引上げ・限度額超過分の繰り越し」を求めた。
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<タックスワンポイント>
領収書税務署が認める支払証拠の4項目 レシートでも要件満たせばOK
得意先を接待して領収書をもらう。気持ちよく飲んでいたせいもあって滑舌が悪かったのだろうか。「宛名は上でいい」と言ったつもりが、翌日に財布に入った領収書を見ると、なんと宛名は「ウェデイ様」に……。
領収書とは会社がお金を支出した証拠であるため、税務調査で見られた際に、それが正しい内容であると証明できれば事足りる。証拠とするために必要な項目は、日付、金額、内容、相手の4つだ。そのため、領収書よりもレシートのほうが信頼性が高いと見られることは多く、必ずしも領収書に限る必要はない。紙切れに手書きされたものであっても、しっかりと説明できれば何ら問題はない。仮に宛名が「ウェデイ」や「ブランク」であっても、その裏に接待した相手や人数などをしっかり書いておけば基本的に認められないことはない。さらにいえば、領収書をもらえないケース、例えば香典や割り勘の飲み代などは、上記の4つの事項を自分でメモとして書いておけばよい。調査で税務署から疑われたとしても、ここまで証拠を残しておけば、それをウソだと税務署が証明するのは難しい。
ただ、正式な領収書ではなく何でもいいとなると、ただでさえインボイス制度によって手間が増えている中で、社内の経理担当の負担が重くなる。領収書の宛名などは税務署に向けた対策ではなく社内ルールとして定めておくべきではあるだろう。
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