<タックスニュース>

国税庁「相互協議の状況」公表  212件発生、繰越事案は735件、平均処理期間は長期化の傾向

 国税庁はこのほど、2023事務年度の「相互協議の状況」を公表した。移転価格課税などによる国際的な二重課税について納税者から申し立てがあった場合、国税庁では租税条約などの規定に基づいて外国税務当局との「相互協議」を実施して、その解決を図っている。また、納税者の予測可能性を高め、移転価格税制の適正・円滑な執行を図る観点から、事前確認についても「相互協議」を実施している。
 それによると、23事務年度の相互協議発生件数は前年度比30%減の212件だった。このうち事前確認に関するものは同21%減の167件、移転価格課税などに関するものは同79%減の45件だった。相互協議の発生件数は、納税者からの申し立てによって行われた件数と、相手国の税務当局からの申し入れによって行われた件数を合計したもの。
 23事務年度内に処理した件数は219件で、前年度比15%増となった。このうち事前確認に関するものは同28%減の158件、移転価格課税などに関するものは同72%減の61件だった。
 処理事案1件当りに要した平均処理期間は31.8カ月で、前年度より約1.6カ月長くなっている。このうち事前確認に関するものは35.8カ月で同約5.3カ月長期化、移転価格課税などに関するものは21.5カ月で同約7.7カ月長期化している。
 次年度に繰り越した事案数は753件で、前年度よりも7件減ったものの引き続き増加傾向にあるといえる。繰越事案の相手地域としては「アジア・大洋州」が最も多く、次いで「米州」、「欧州・アフリカ」となっている。相手国別にみると米国が最多で全体の24%を占めており、次いで中国とインドが各14%、韓国が8%、ドイツが5%という順になっている。

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<タックスワンポイント>

福利厚生のカフェテリアプラン換金性あれば課税  ポイント制で幅広いサービス

 社員の希望に応じて、それぞれ受ける福利厚生制度を選択する仕組みをカフェテリアプランと呼ぶ。忘年会や社員旅行も福利厚生制度のひとつだが、これらは原則として「全社員参加型」の福利厚生制度で、いわば固定した「定食」のようなもの。これに対して、あらかじめ決められた定食ではなく、コーヒーや紅茶などのメニューから任意に選択する「カフェ」のようにいくつかの福利厚生制度が設定されているものがカフェテリアプランというわけだ。1980年代にアメリカで流行し、それを95年にベネッセコーポレーションが導入したのが日本では初めていわれる。
 具体的な運用方法としては、福利厚生サービスを提供する専門業者と契約し、社員にポイントを与え、社員がポイント利用をして福利厚生サービスを受けるというかたちが一般的だ。
 カフェテリアプランによるサービスを給与等ではなく福利厚生費とするためには、役員を含めた社員全員にとって均等なものでなくてはならない。社員の職務上の地位や報酬額に比例してポイントが付与されるものは、その内容にかかわらず、カフェテリアプランの全てについて給与等として課税されることになる。加えて、給与等として課税されない経済的利益は企業から現物給付のかたちで支給されるものに限られるので、ポイントを現金に換えられるなど換金性のあるカフェテリアプランでは、その全てについて給与等として課税されてしまう。

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