Vol.0388
<タックスニュース>
つくば市が固定資産税を過大徴収 全国に眠る潜在被害者
茨城県つくば市は1月24日、過去40年以上にわたって複数の納税者から固定資産税などを過大徴収していたことを明らかにした。全国的に続く過大徴収を受けて固定資産課税台帳の調査を行った結果、判明した。
過大徴収していたのは固定資産税と都市計画税に加えて、固定資産税の税額を基に算定していた国民保険健康税の3税。市内の201の個人や法人から、過去20年で計1億2331万円を多く徴収していた。住宅の建つ土地の固定資産税を最大6分の1に軽減する特例を適用していなかったことなどが理由だという。同市では2014年~15年度にも5件の過大徴収が発覚しており、改めて土地と家屋の固定資産課税台帳を突き合わせるなどの調査を行ったところ、新たに発覚した。
同市は国家賠償法に基づき、過去20年に過大徴収した分に加算金の利子を加えて計1億6672万円を返還する方針だ。20年としているのは国家賠償法に規定された返還の期限がそれ以上の返還を求めていないためだ。つくば市の調査では、土地の税額軽減が導入された1973年から、最大で40年以上にわたって過大徴収が行われてきたとみられている。同市の五十嵐立青市長は記者会見を開き、この点について「泣き寝入りとならないよう、20年以上経過していても還付できるような方法を検討したい」と語った。
近年、全国で次々に発覚している固定資産税の過大徴収では、その多くが長期間に及ぶ。地方税法では固定資産税について土地の現況などを定期的に確認する事を求めているにもかかわらず、実際には一度算定された税額は増築や取り壊しなどの変化がないかぎりノーチェックで据え置きにされるからだ。特例の適用ミスやコンピューターのシステムの入れ替えなどで誤った税額が算定されても気付かれることはまずなく、そのまま国家賠償法の規定する20年を超えることになる。つくば市のように20年を超えた分についても補償する方針を打ち出す自治体はまれで、多くは被害者が泣き寝入りするしかないのが実情だ。
多発する固定資産税の過大徴収を受け、総務省が全国の自治体に課税ミスの防止と再確認を促す通知を送ったのは14年9月のことだ。だがそれから2年以上経っても徴収ミスは次々に見つかっている。つくば市のように自主的な調査で判明するのはまだよく、納税者からの指摘によって初めて分かるケースも多いことから、自治体の自浄作用を期待するのはもはや無駄と言わざるを得ない。泣き寝入りとならないよう、所有する土地や家屋の固定資産税額を、必ず一度は確認しておきたい。
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<タックスワンポイント>
1社依存体質を脱出 下請自立補助金の公募が開始
特定の1社との取引に依存しがちな下請業者の販路開拓や新規事業開始をサポートする助金の公募受け付けを、中小企業庁が1月26日に開始した。2社以上の下請業者が連携して事業計画を作成し、国の認定を受けることで、最大2千万円の助成を受けられる。
1社との取引が大きなウエートを占める下請け業者は、何らかの事情でその会社との取引がなくなってしまうと、自社の存続そのものが危うくなるリスクを抱えている。「下請中小企業・小規模事業者自立化支援対策費補助金」は、そうした下請け業者のリスクを軽減するため、新たな取引先の開拓や、新製品の開発などに補助金を交付する制度だ。
対象となるのは、前事業年度に、特定の1社への取引依存度が20%を超える下請事業者だ。この時、特定の大企業に株式の過半数を保有されているなど、実質的に大企業とつながっている子会社は対象とならない。
注意が必要なのは、必ず同様の下請事業者が2社以上で連携して申請をしなければならないという点だ。異なる強みを持つ会社が補い合い、自社だけではできなかった事業を手がけるというのが同補助金の特色となっている。事業計画を作成して経済産業局に認定されれば、事業実施の際にかかる専門家への謝礼、展示会などへの出展費、試作のための原材料費など、幅広い経費が、かかった費用の3分の2まで最大で2千万円助成される。
問い合わせは各地域の経済産業局まで。
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