<タックスニュース>

給付付き税額控除って何?  自民総裁選で高市市が提唱

自民党総裁選に出馬した4候補のうち、高市早苗氏が、社会保障政策として「給付付き税額控除」の導入を掲げている。かつて何度か議論に上がったこともあるが、実現してこなかった給付付き税額控除とはどのような制度なのだろうか。
給付付き税額控除とは、低所得者を対象とした税負担減のための手法の一つを指す。
同制度では、ある一定の金額を所得税から控除し、控除しきれない分があるときには差額を給付する。例えば10万円の給付付き税額控除を導入した場合、所得税額が15万円の人は10万円が控除されて税額が5万円に減る。所得が少なく、そもそもの税額が5万円しかない人に対しては、逆に差額の5万円が給付金として支給されるという仕組みとなっている。給付金とセットになっていることで、通常の所得控除ではカバーできない課税所得がない低所得者に対しても恩恵が及ぶことがメリットだ。
日本では麻生政権時に検討されたほか、2019年の消費増税時に、軽減税率制度への対案として挙げられた経緯がある。軽減税率制度では、税率や取引金額などを記載した特殊な伝票(インボイス)の導入が必須となることから、事業者の経理にかかる事務負担が過大になる欠点がある。その点、給付付き税額控除ならば現場の事務負担が発生せず、また所得制限を設けて高所得者に効果が及ばないようにすれば逆進性の緩和にも寄与できるという。
ただし、適用対象を個人単位にすると高所得の夫を持つ専業主婦であっても給付金を受け取れる可能性が出てきてしまうことや、世帯単位を対象にすれば、婚姻の有無によって課税の中立性が失われるリスクがあるなど、導入にあたっての課題もあるため、細やかな制度設計が欠かせない。

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<タックスワンポイント>

フル稼働の機械は増加償却で損金上積み  8時間オーバーに適用して耐用年数を短縮

機械や装置の耐用年数は、ごく一般的な稼働時間、つまり1日約8時間の使用を目安にして、機械装置としての寿命を想定している。つまり24時間、365日をフル稼働するような「酷使」の現場は想定されていない。
そこで1日8時間を超えるような稼働状況になった時には、こうした実態に見合った償却年数にするため、超過使用時間に対応する「増加償却費」を通常の償却費に加算する会計処理方法を適用することが可能だ。増加償却費は、通常の償却費に、「1日当たりの超過使用時間×3.5÷100」で計算した増加償却割合を掛けた値となる。これらのデータを税務署に届け出ることで、増加償却を利用できる。
例えば自社が大量発注を受けて、機械をフル稼働しなくてはならないような事業年度は、この増加償却を行うことで、通常よりも多めに償却できる。機械をフル稼働させたということはそれだけ利益も例年より多くなることが予想されるので、償却費を上積みすることで利益の圧縮につなげることができるわけだ。

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