<タックスニュース>

与野党の現金給付策  見えにくい財源論

10月19日に公示された衆院選では、与野党がこぞって現金給付や減税などの分配策を打ち出す一方、原資となる財源論についてはほとんど触れられない事態となっている。
各党の公約には現金給付策がずらりと並ぶ。高校3年生までに一律10万円(公明)▽低所得者に年額12万円(立憲)▽1人10万円を基本に給付(共産)▽1人一律10万円、低所得者にはさらに10万円を上乗せ(国民)▽1人一律月20万円(れいわ)▽1人一律10万円(社民)。自民も現金給付を念頭に非正規雇用者などへの経済的支援、維新も生活に必要な最低限のお金を国民に給付する「ベーシックインカム」の導入を主張。立憲、共産、維新、国民は時限的措置を含む消費税5%への減税を訴え、れいわと社民は消費税ゼロを掲げる。
18日の日本記者クラブ主催の公開討論会で、岸田文雄首相(自民党総裁)は「人の命や暮らしがかかっている非常時においては、(分配の)財源として国債を思い切って使うべき」と発言。立憲の枝野幸男代表も「消費税減税は100年に一度の危機への対応策で、(財源は)国債で対応する」と述べた。各党とも借金である新規国債の発行で分配の財源を賄う考えを示す。
18日の討論会では、各党の党首から「分配」という言葉は45回発言されたが、「財政再建」という言葉は一言も発せられなかった。日本の債務残高のGDP比は256%で、ドイツの70%や米国の132%などと比べ先進国でも突出。2021年度の国の一般会計歳出のうち、約4分の1に当たる24兆円弱が借金の利払いなどの国債費に消えていくという「自転車操業」状態に陥っている。

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<タックスワンポイント>

肩代わりした葬儀費用は「社葬」にならず  損金にできるのは会社主催のみ

法人税法では、社葬費用は「通常要すると認められる費用」であれば、福利厚生費として損金に算入することが認められている。すなわち社葬を執り行うために直接必要となる費用として、社葬を行うことの通知、広告に要する費用、僧侶へのお布施、葬儀場や臨時駐車場の使用料、遺骨・遺族・来賓の送迎費用、祭壇・祭具の使用料、遺族・葬儀委員への飲食代などはすべて損金にすることが可能だ。
一方、社葬費として認められないものは、遺族が負担すべきものだ。密葬の費用、初七日の費用、墓地霊園の費用、四十九日の費用、戒名料、香典返しなどの返礼に要した費用、納骨の費用など。たとえ社葬に伴う戒名料や香典返しであっても、これらは遺族負担となり、会社の損金にはできない。
注意したいのは、遺族が主催して行った葬儀の費用だけを会社が肩代わりしたケースだ。この場合、遺族が負担すべき費用を会社が支払ったとして、社葬費用として損金処理はできない。損金になるのは、あくまで会社が主催した「社葬」のみだと覚えておきたい。

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