<タックスニュース>

「暫定税率」ただちに撤廃 民主政権でいよいよ現実味

 民主党が策定中の政権公約(マニフェスト)で、焦点だった道路特定財源の暫定税率の撤廃を「政権奪取後の初年度から実施」とする方向で固まった。党内では鳩山由紀夫代表が「民主党の象徴的な政策」として初年度からの実施を主張。岡田克也幹事長は「3年目からの本格実施」を進言し意見対立が続いていたが、鳩山氏の「理念論」が押し切ったかたちだ。
 道路特定財源の暫定税率は、ガソリン購入時に課される揮発油税のほか、自動車重量税や自動車取得税など5税目にかかる上乗せ税率の総称。年間収入は2・6兆円と、国・地方を合わせた税収の3%を占める。田中角栄内閣時代の1974年3月に2年間の「暫定措置」として引き上げられたが、今日まで続いてきた。
 税収が自動的に道路建設に使われるため、民主党は「道路利権の象徴」として攻撃。昨年4月に暫定税率の裏付けとなる租税特措法を一時的に失効させ、1カ月間「撤廃」に追い込んだ。
 民主党の中堅国会議員は「自民党の利権政治の象徴で、撤廃は国民との約束。絶対に引けない」と話す。ただ民主党の政権奪取が現実味を帯びるなか、財務省幹部は「ただでさえ税収の落ち込みで厳しい歳入に大きな穴が開く」と戦々恐々だ。

<タックスワンポイント>

見切り販売にみる値引き??消費税取扱いに注意!

 コンビニ最大手のセブン-イレブンが、各店舗が独自に行う「見切り販売」を不当に制限しているとして、公正取引委員会より独占禁止法違反による排除命令を受けた。「見切り販売」とは、販売期限の迫った弁当・お惣菜を値引きして販売すること。
 現在、同社のフランチャイズ契約では、各店舗が見切り販売を行う場合、本部が値引きによる損失の一部を負担している。その一方で、販売期限が過ぎた商品を廃棄した場合の損失は、その全額を店舗が負担することとされていた。そのため、店舗が見切り販売を行うことにより、セブン-イレブン本部の収益が下がってしまうという構造があった。
 今回、公正取引委員会の排除命令が出たことで、今後は見切り販売を開始する店舗の増加が見込まれるが、同社では、各店舗に対して見切り販売を行わないよう呼びかけており、廃棄による損失について、原価の15%を負担することを決定した。
 こうした値引き販売を行う場合、消費税の処理に注意が必要だ。具体的には、値引き金額に対応する消費税額を、売上げに対する消費税額から差し引くことができる。また、原価を割る価格で商品を販売した場合には、仕入れ原価に含まれる消費税額と、販売価格にかかる消費税の差額が還付される。
 ところで、自社の商品を従業員に格安で販売するケースがある。この場合、通常販売価格のおおよそ70%以下の価格で販売したり、原価割れする価格で販売したりした場合は、従業員に対して経常的な利益を与えたことになり、給与として課税対象となる。

税理士法人早川・平会計