Vol.0068号
<タックスニュース>
保有する土地にも賞味期限!? 資産デフレが加速??
地価の下落に歯止めがかからない。国土交通省が3月18日に発表した公示地価は住宅地、商業地とも下落率が拡大。緩やかな景気回復に向かう中、土地の資産価値が継続的に下落する「土地資産デフレ」が長期化すれば、企業や個人の投資・消費意欲の減退につながりかねない。
資産デフレはバブル崩壊後の1990年代に顕在化した「失われた10年」の背景になった。今回は「上昇幅とその後の下落幅が限定的で、日本経済全体に大きな影響は出ない」(エコノミスト)と楽観視する声も多い。
ただ、地価下落は企業や個人が所有する不動産の評価額や担保価値の下落につながる。2006~2007年の高値圏で土地やビル、マンションなどをローンで購入した企業や一般家庭にとっては、保有する資産の価値下落で、実質的な債務負担が拡大する。
政府は、住宅購入資金にかかる贈与税の非課税枠拡大や、省エネ住宅の新築などにポイントをつける「住宅版エコポイント」を3月から始め、住宅市場の活性化を狙う。「結果的に地価の底上げにつながれば」(政府関係者)との狙いもあるが、「目先のバラマキ」に高い効果は期待できない。「街の魅力を高める地道な工夫が、何より将来の経済成長には重要」(アナリスト)との指摘も出ている。
<タックスワンポイント>
平成22年中に廃止される特例 国税だけで41措置
年末の政府税制調査会では隠れ補助金として「租税特別措置(租特)」がやり玉に挙げられたのが記憶に新しいところだが、平成22年度税制改正の施行で国税41、地方税57の措置が廃止・縮減される。廃止措置の主なものとして、まず、「情報基盤強化設備等を取得した場合の特別償却または特別税額控除」がある。ただし、サーバー用オペレーティングシステムやデータベース管理ソフトといった従来の情報基盤強化税制が対象とする情報基盤強化設備の導入については、「中小企業等基盤強化税制」(適用期限=同23年3月末)に引き継がれる。
また、「住宅取得等資金の贈与に係る相続時精算課税制度の特別控除の上乗せ(現行1千万円)」が3月末で廃止。特別控除額2500万円を超える部分については一律20%の税率が課税される。ちなみに、同じ目的の贈与なら従来からの課税方式「暦年課税」で1500万円まで非課税(同23年中の贈与は1千万円まで)となるので、どちらを使うか個々のケースに合わせて考えたい。
そのほか、12月末で廃止される措置としては、「上場会社等の自己の株式の公開買付けの場合のみなし配当課税の特例」、「給与所得者等が住宅資金の貸付け等を受けた場合の課税の特例」などがある。「平成13年9月30日以前に取得した上場株式等の取得費の特例」も12月末で廃止。該当する株式を持っている人は、年末までの売却も視野に入れておいたほうがいいだろう。