<タックスニュース>

前原経財相 金融緩和へ圧力  日銀による外債購入で円高是正

 野田改造内閣で、民主党政調会長から国家戦略・経済財政担当相に就任した前原誠司氏がさっそく、日銀に対する金融緩和圧力を強めている。日銀による米国債など外国債の購入について「検討課題。有力な材料の一つ」と言及、強い意欲を示した。当初は財務相就任も取り沙汰された前原氏。権限に縛られず自由に発言できる経財相に回ったことで、今後も独自の政策発信を続けそうだ。
 前原経財相は、狙いについて「行き過ぎた円高を是正しなければ、日本のものづくりは成り立たない」と指摘。米国債などを日銀が購入することで、為替介入と同じ円売り・ドル買いの効果を見込む。日銀による外債購入はかねてからの前原氏の持論でもある。
 ただ、日銀法では、為替介入の是非を判断する権限は政府(財務相)にあり、日銀は実際の売り買いなど実務を担うだけ。日銀が介入効果を見込んで外債を購入するとなれば、日銀法改正の必要が出てくる。それ以上に、日銀による外債購入を「裏技」として使い、実質的に為替介入を行えば、欧米各国の反発を招く可能性が高い。「下手をすれば、欧米からそっぽを向かれて、為替介入ができなくなる」。財務省幹部は危機感を募らせる。
 問題含みの外債購入だが、かつて日銀副総裁を務めた岩田一政氏も外債購入論者の一人であり、外債購入まで行かなくても、日銀の追加緩和や円高是正を期待する声は、政界だけでなく産業界でも根強い。しかし、それだけで競争力が復活するわけでもなく、日銀頼みの姿勢はかえって、日本の産業が世界で売れる商品を生み出せていない現実から目をそむけることになりかねない。霞ヶ関からは「だから前原氏は財務相になれない」と厳しい指摘も出ている。

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<タックスワンポイント>

海外への支払利子  来年から損金に上限

 海外取引の増加とともに、海外への支払利子も増加傾向にあるが、この支払利子が思いのほか多くなってしまった場合、税務上の取り扱いには注意が必要。平成24年度税制改正では、海外への支払利子の損金算入に上限が設けられたからだ。
 企業の所得計算上、支払利子は損金算入扱い。これを利用して、海外の関連会社間で借り入れを恣意的に設定し、多額の利子を海外に支払うことで、税率の低い海外に所得を移転するという租税回避が多いという。
 そこで平成24年度税制改正では、海外の関連会社に支払う利子が所得の一定割合を超える場合、その超えた部分の損金算入を認めない「過大支払利子税制」が設けられた。
 具体的には、海外の関連会社へ支払う「純支払利子等」のうち、「調整所得金額」の50パーセントを超える部分の金額は当期の損金に算入しないというもの。ここでいう純支払利子等とは、関連会社への支払利子等の額からこれに対応する受取利子等の額を控除した残額のこと。また調整所得金額とは、当期の所得金額に、純支払利子等や、減価償却費、受取配当益金不算入額等を加えた金額をいう。
 例えば、調整所得金額が1億円、関連会社への純支払利子等が6千万円の場合、1千万円が過大支払利子となり、当期での損金算入が認められない。純支払利子等の額が1千万円以下の場合は適用除外。また損金不算入とされた過大支払利子は翌期以降7年間の繰り越しが可能だが、それでも従来の全額損金算入から比べると大幅に制限されることには間違いない。
 この「過大支払利子税制」は平成25年4月1日以後に開始する事業年度からの適用。頭に入れておく必要がある。

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