<タックスニュース>

パートナーシップ構築宣言が賃上げ税制の要件に  下請けイジメ対策に期待

政府は中小企業などが取引先から不当な取引や対応を強いられることを防ぐ「下請け対策」を強化している。このうちの一つに、企業に取引適正化に努めることを宣言してもらう「パートナーシップ構築宣言」の仕組みがある。2022年度税制改正で強化された「賃上げ税制」で優遇が受けられる要件としても盛り込まれるなど、この宣言の広がりを促す流れが強まってきている。
経済状況が悪化すると、大企業などの元請け企業が中小企業などの下請け企業に対し取引価格の引き下げを行うことなどが起きやすくなる。新型コロナ禍でそうしたことを防ぐためとして政府や経済団体は20年6月、不当な取引をしないことやサプライチェーン全体での協力関係を強化するなどといったことを企業に公式に宣言してもらう「パートナーシップ構築宣言」の仕組みを創設した。宣言は例えば「価格の決定方法について不合理な原価の値下げ要請は行わない。取引価格の決定に当たっては、下請け企業から協議の申入れがあった場合には協議に応じる」といった内容で、各企業の宣言内容は専用ポータルサイト上で公表される。宣言数は徐々に増えてきており、22年1月時点で4600社以上となっている。
取り組みは機運醸成が目的で、宣言後に国が監督や指摘をすることはないが、事業再構築補助金やものづくり補助金などの審査で加点措置が受けられるというメリットもある。また、22年度税制改正においては、賃上げにより税制優遇が受けられる「賃上げ税制」を大企業が利用する際の要件にも含まれることとなった。宣言をしている企業のうち大企業は1割にとどまっていることから、国は制度活用を促したい考えだ。
一方では拘束力のない制度だけに、「政府は宣言内容を守っていない企業名を公表してほしい」などと、中小企業団体などからは実効性を担保するよう求める声も上がっている

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<タックスワンポイント>

相続情報証明書に放棄した家族は反映されず  諸々の手続きに利用が可能

法定相続情報証明制度は、相続手続の際に必要となるさまざまな情報を紙1枚にまとめることができる制度のことだ。2017年にスタートし、今では税務申告といった役所の手続きだけでなく、金融機関での口座解約の際にも使えるようになっている。
かつて親や配偶者が死亡したときには、相続人は不動産登記の変更や相続税の申告、銀行口座の解約などのため、大量の戸籍書類一式をそろえて、相続対象となる不動産を管轄する各自治体の法務局や預金などのある金融機関ごとに提出しなければならなかった。そこで相続情報証明書制度では、全国の登記所のいずれかに相続人全員分の本籍、住所、生年月日、続柄、法定相続分などの情報をそろえて提出すれば、偽造防止措置が施された法定相続情報の一覧図の写しが発行されることとなった。以降の手続きは法務省の発行する写しを利用すれば各種の手続きにかかる手間が省けるわけだ。
証明書には決まった書式などはなく、被相続人と法定相続人全員の関係がひと目で分かるよう相続人自身が一覧図を作成し、それを法務局で確認してもらう形となる。この際、それぞれの住所は任意記載とされているものの、証明書を様々な手続きで利用していくことを考えると、住所もあったほうが便利だろう。また証明書に記載される被相続人と相続人の関係については、「長男」「長女」「養子」でなく、大まかに「子」としても証明書として不備はないが、こと相続税申告の添付書類として使うつもりなら、なるべく詳しい間柄を記載するようにしたい。
証明書を活用する上で覚えておきたいのが、証明書は戸籍謄本に基づいて内容の正しさを保証するものなので、戸籍のない人、つまり日本国籍を持たない外国人などが関係者にいる時は、証明書を利用することはできないという点だ。さらに相続人のなかに相続放棄をした人がいても、証明書の一覧図では他の人同様、通常の法定相続人として記載されてしまうため、そうしたケースでも証明書を使うことができない。いろいろと便利な制度だが、万能ではないということを頭に入れておきたい。

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