<タックスニュース>

外形標準課税の「拡充」議論が加速  一部経済界から反発必至

 政府・与党は、法人税の実効税率引き下げの財源として、地方税の法人事業税で導入されている外形標準課税を「拡充」する方向で検討に入った。約3割の黒字法人だけが税を負担しているのは不公平だとして赤字法人への課税強化を図るという。ただ、一部経済界の反発が予想され、年末の税制改正論議まで紛糾は必至だ。
 自民党税制調査会は5月27日の小委員会で、政府が6月にまとめる「骨太の方針」に向けた提言策定の議論に着手。法人税改革の柱の一つとして「応益課税の考え方に基づく地方法人課税の改革」を掲げた。新藤義孝総務相も同日の経済財政諮問会議で「外形標準課税の拡充を図る」と表明した。
 法人事業税は、儲けへの課税(所得割)と、賃金などに応じた外形標準課税(付加価値割)などで構成される。所得割の税率を引き下げて黒字法人の負担を減らす一方、赤字法人も納税義務を負う付加価値割の税率を引き上げる方向で調整したい考えだ。外形標準課税は現在、資本金1億円超の企業が対象で、中小企業への適用拡大を求める声もあるが、反発が確実なことから、まずは対象企業を変えず付加価値割の比率を高める方向で議論が進むとみられる。
 さらに、地方税の法人住民税のうち、資本金や従業員数などに応じて事業所ごとに定額負担する「均等割」(1事業所あたり7万~380万円)の引き上げも検討する。ただ、宅配業など全国に事業所を多く構える業種の税負担が重くなるとの指摘もあり、議論の先行きは不透明だ。


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<タックスワンポイント>

梅雨時期の防水対策  防水加工は修繕費?資本的支出?

 気象庁によると今年は例年に比べて梅雨入りが全国的に遅い傾向が見られるようだ。梅雨末期には毎年、全国で局地的に集中豪雨が発生し、一部の地域では洪水や土砂崩れなどによって甚大な被害が起こるため十分な警戒が必要になる。
 個人宅で行える対策の中で効果的なのが、「浸水防止用設備」の設置だ。敷地の周りを防水板で囲み、浸水から自宅を守るというもの。自治体によっては設置費用を一部助成するところもある。ただし、対象は地域の洪水避難地図などで、浸水の恐れのある区域の住宅となる。
 企業の社屋老朽化が進んでいる場合も、雨漏りなどへの防水対策が必要だ。こうした対策にかかった費用の税務上の扱いは「修繕費」になる。修繕費とは、事業のために使用している建物や、設備、機械装置などの資産の修繕費となり、「維持管理」「修理目的」で支出されるもので、必要経費になる。
 しかし、修繕のためとはいえ、「資産価値を高める」と思われるものは、資本的支出として判断され修繕費とはならない。ちなみに資本的支出とは、社内の階段や避難階段の取り付け、使用目的の変更で社屋の改造または改装などだ。
 例えば、部分的にある小さな雨漏りの修繕であったとしても、使用された部品や工事内容によって「建物の価値が高まる」と判断されれば修繕費にはならない。反対に、ある企業では建物内のいくつもの亀裂から雨漏りが発生し、何度も急場しのぎの塗装工事を試みたが改善されず、特殊加工を施した。このケースでは、このままの状態ではさらに建物の耐久年数を縮めるとして、「建物維持」と判定されたため、「修繕費」として必要経費に該当することになった。

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