<タックスニュース>

沖縄徳洲会の特定医療法人の税優遇取り消し  選挙応援「公益性に反する」

 病院や介護施設などを経営する医療法人「徳洲会」グループの沖縄徳洲会が、法人税などを優遇する「特定医療法人」の承認を取り消されたことが分かった。4月29日に国税庁が承認取り消しを通知した。同会が2009年の衆院選などで行った選挙応援が、特定医療法人承認の要件である「公益性」に反すると判断した。
 同会は09年の衆院選などで、グループの創設者でもある徳田虎雄前理事長の次男、徳田毅元衆院議員の応援に病院職員を運動員として派遣し、給料や経費を人件費などとして計上した。国税当局は、こうした支出を特定医療法人が負担することは虎雄氏への利益供出にあたるとして、医療法人徳洲会(大阪市)と沖縄徳洲会が支出した約3億6千万円の申告漏れを指摘していた。今回さらに特定医療法人の承認を取り消されたことで、同会には過去にさかのぼって優遇分の法人税と復興特別法人税を納付する義務が発生することになる。同会が09年からの5年間で軽減された法人税額は約30億円に上るとみられる。
 「特定医療法人」は、「設立者やその親族に特別の利益を与えないこと」、「公益に反する事実がないこと」などを要件として、公益性の高い医療法人に対して、法人税の軽減税率19%(本則25・5%)を認めている。課税当局は、病院職員を選挙応援に派遣したことが「公益性」に反し、特定医療法人の資格要件を欠くとみなした。
同グループによる選挙応援をめぐっては、12 年衆院選で公職選挙法違反があったとして、徳田元議員の親族ら10人が起訴され、全員の有罪が確定している。


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<タックスワンポイント>

コンプライアンス・経理水準向上へ  自主点検チェックシート【入門編】を見てみよう

 全国法人会総連合(全法連、池田弘一会長)が、企業が自社のコンプライアンスや経理水準をチェックできる「自主点検チェックシード・ガイドブック」の「入門編」を作成し、4月15日にホームページ上で公表した。これまであったチェックシートでは全83項目だったが、「企業にとってより取り組みやすいものを」との要望に応えて日本税理士会連合会(日税連)の監修のもとで、企業のガバナンス確保に必要な基本40項目+補足5項目の計45項目に絞った。ぜひチェックシートを活用して自社のコンプライアンスや経理水準を向上させ、会社の成長につなげたい。
 チェックシートは「社内体制」、「貸借関係(資産科目)」、「貸借関係(負債・資本科目)」、「損益関係」、「その他」の5分野に大きく分かれ、さらに該当取引があるときのみ利用する「小切手・手形関係」、「損益関係(福利厚生費)」の補足2分野から成り立っている。それぞれの分野で、さらに「現預金・小切手」や「棚卸資産」、「借入金」などの細かい項目ごとに、管理がしっかりとされているか、会計上の処理が正しくされているかなどを一つひとつ確認できるようになっている。またシートには必要に応じて会社独自で設定する点検項目を追加するスペースも用意されているため、それぞれの会社で、使いやすいようにアレンジすることも可能だ。点検日時記入欄も複数用意されているので、一度チェックして終わりではなく、不備が見つかった点については改善計画を立てて実施し、何度も繰り返しチェックすることが重要だろう。
 もともとこのチェックシートは、中小企業の税務コンプライアンス向上を目的として、2014年に全国法人会総連合が作成したもの。その「正式版」は、全83項目にわたって企業の内部統制や税務コンプライアンスの水準をチェックできるようになっている。だが項目数が多い分、細かいところまでチェックすることが可能になる一方で、企業の取り組みへのハードルを高くしていると指摘されていた。そうした声を受け、全法連は今回の「入門編」の作成に踏み切った。チェック項目がより重要で基本的なことに絞られ、「正式版」に比べて手軽に活用できるようになっているわけだ。とはいえ「正式版」、「入門編」ともに日税連の監修を全面的に受けているため、実践的な税務のポイントのすべてをしっかり押さえられるようになっている。
 内部統制や経理水準を向上させることは、「入出金が適切に管理されるようになる」「内部の不正行為を未然に防止できる」など、結果的に企業の成長につながることが期待できる。逆に内部統制・経理水準の面に不足があると、「売掛債権が未回収となる恐れがある」「重要書類を紛失してしまうことがある」「会社の資産が不明確になる可能性がある」など、経営上の大きな問題に発展することも考えられる。
 全法連は「企業を成長させるためには、売上を増やし利益を上げることはもちろんですが、内部統制面の強化や経理面の質を向上させることも重要な要素です」として、チェックシートの活用を呼び掛けている。まずはこの「入門編」で自社のコンプライアンスの水準を把握し、さらに内部統制や税務リスクを軽減させようと思ったときに、83項目の「正式版」を活用するのが賢い使い方だろう。

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