<タックスニュース>

都市農地の政策 転換  税負担軽減で保全へ

 政府は、市街地で行う農業を安定的に維持するための案をまとめ、自民党に示した。2016年春に策定する「都市農業振興計画」の素案となるもので、都市農地の位置付けを「宅地化」から「保全」へ舵を切り、バブル時期以降続いてきた農地政策を大きく転換させるものとなった。
 政府案では、「都市農地の安定的な担い手の確保」、「農地として維持」を軸に据え、所有者の固定資産税や相続税負担を軽減するとしている。また新たに農業を始める人への補助金の創設や、農地の貸借促進、企業の参入支援なども検討する。
 4月にも閣議決定し、17年度の予算や税制改正に反映させていきたい考えだ。
 都市農地は、バブル経済の影響による地価高騰や宅地需要の高まりを受け、1991年以降、課税強化がされてきた。首都圏などでは宅地並みの固定資産税を課せられることから、宅地に転用する人が増え、2013年度での都市農地は約8万ヘクタールと、20年でほぼ2分の1まで減少してきた。
 しかし、人口減により宅地需要が減り、災害時の避難場所としての農地の必要性も認識されてきたことから、政府は都市農地を従来の「宅地化すべきもの」から「保全すべきもの」へと考え方を転換することとなった。

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<タックスワンポイント>

ユニーク給付事業で活路  若者の地元離れ

 地方の自治体にとって、若者の地元離れは深刻な状況だ。
 長崎県のデータをみてみると、2013年の出生数は30年前に比べて半減していることが明らかになっている。1983年に県内で2万1656人だった出生数は、30年後の13年に1万1565人と減少している。
 日本創成会議・人口減少問題検討分科会(座長:増田寛也東京大学大学院客員教授)が14年5月に発表したデータは地方都市に衝撃を与えた。地方から都市部への人口移動がこのまま進むと仮定すると、20~39歳の女性の人口が10年から40年にかけて半分以下になる自治体数は全自治体の約半数に達する見通しで、多くの地域が消滅する恐れが高いと指摘したからだ。
 そこで、地元離れを少しでも防ぎ、新たに若者を迎え入れることに力を入れる自治体も現れている。ユニークな給付事業をいくつかを紹介したい。
 香川県琴平町は、40歳未満の新婚夫婦が町内の民間賃貸住宅に居住すると、家賃を月1万円、2年間補助する「新婚さんいらっしゃい事業」を行っている。
 岩手県一関市の「縁結び支援事業」は、サポートセンターに会員登録し、支援員の仲介で結婚した夫婦に祝い金10万円を支給。市内で結婚式や披露宴を行えば、さらに10万円加算される。
 高齢化によって、農業従事者が不足している自治体も多い。富山県高岡市は経営の不安定な就農初期段階の青年就農者を支援。新規就農者の経営が安定するまでの最長5年間、年間150万円を給付する制度を設けている。
 同窓会に参加するだけで補助金を得られる自治体もある。北海道秩父別町は、町内で開催される同窓会に要する経費の一部を補助している。補助金額は「出席人数に1000円を乗じて得た額」とし、最大3万円を支給している。

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