<タックスニュース>

森林環境譲与税  自民党PTが見直し提言

自民党のプロジェクトチームは森林保全のために使われる森林環境譲与税の取り扱いを見直すよう求める提言を取りまとめ、6月3日、総務大臣に申し入れを行った。
森林環境譲与税は、2024年度に始まる森林環境税に先立ち、19年度から地方公共団体金融機構の準備金を活用し、国が地方自治体に配分している。配分の基準は森林面積(50%)、林業従事者数(20%)、市町村の人口(30%)となっている。森林環境税は年間1000円を住民税に上乗せして徴収され、年間約600億円の税収が見込まれる。
現行の森林環境譲与税の配分基準では、人口の多い都市部への配分が多くなることや、森林整備などには使われずに基金に積み立てられているなどの問題が指摘されている。総務省と林野庁の調査によると、20年度に配分された約400億円のうち、2割の市町村が基金に全額を積み立てていた。19年度は38%だった。
森林面積が少ない自治体ほど基金への積み立てが多い傾向がある。20年度の調査結果では、人工林・私有林が1000ヘクタール以上の自治体では91%が森林整備などに使われ、基金への積み立ては7%だった。一方、1000ヘクタール未満の自治体では45%と半減し、基金への積み立てはその次に多い36%だった。
配分額が最も多いのは横浜市で、19~20年度に受け取った額は計4億4400万円。この全額を学校校舎の建て替え時に国産木材を使う財源として基金に積み立てている。
提言では、森林が多い自治体への配分強化や、望ましい使い方を整理した「ポジティブリスト」の作成、相談窓口の設置などを求めた。ただ、税の公平性の観点から「都市部の配分がゼロになることはない」とプロジェクトチームの江藤拓会長は説明している。

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<タックスワンポイント>

孫養子が代襲相続人になるとき  相続分は2倍、控除額は1人分

孫を養子にすることは、相続上、多くのメリットがある。孫が養子として法定相続人となれば、1人当たり相続税の基礎控除額が600万円増え、同様に生命保険金の非課税枠500万円、死亡退職金の非課税枠も500万円増える。これらの非課税枠を活用できれば課税対象となる相続財産を単純に1600万円圧縮でき、圧縮したことで相続税率が下がれば、より大きな負担減が見込める。
また孫のままであれば将来的には子から孫への相続で再び相続税が課されるが、孫養子として財産を渡しておけば、相続税の負担を一代飛ばせる。さらに孫はそもそも法定相続人でないため、確実に孫に遺産を渡したければ、遺言で指定しておくか、養子縁組をすることが求められる。そのほか、多くの相続対策は何年も前から計画的に行うことが求められるなかで、養子縁組は比較的簡単な届出で受理日からすぐ効力を発揮するという即効性も強みと言える。
ただし孫養子は、法定相続人として扱われるものの、相続税法上の一親等に当たらないため、相続税額が20%上乗せされるという「2割加算」ルールの対象となる。遺産の額によっては、孫養子で得られる税負担の軽減効果よりも2割加算ルールで課される税負担が上回るということもあり得るわけだ。
そして、この孫養子に対する2割加算ルールが免除される例外的なケースが、「孫が代襲相続人であるとき」だ。代襲相続人とは、本来の相続人である子などがすでに死亡しているときに、その相続の権利が次世代、つまり孫に引き継がれる仕組みを指す。2割加算の対象ではない子の代わりなので、代襲相続人である孫も2割加算されないということだ。
例えば、後々の相続税対策を見据えて、A社長がまだ幼い孫Cを養子にしたとする。だが数年後に、孫の親である息子Bが逆縁の不幸に見舞われてしまった。こうしたケースで、A社長が亡くなって死亡したときには、孫Cは、孫養子であると同時に、息子Bの代襲相続人でもある。こういう身分を「二重相続資格者」というが、Cは孫ではあるが代襲相続人でもあるため相続税の2割加算はされないということだ。さらに孫Cは法定相続人として2人分の資格を持つため、相続分も2人分を受け取ることができる。
注意したいのは、孫養子かつ代襲相続人であるからといって、相続税の基礎控除や生命保険の控除枠が2人分使えるわけではないという点だ。2倍になるのは法定相続分だけだと覚えておきたい。

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