<タックスニュース>

カジノ課税は源泉徴収が有力か  自民党内には慎重論も

政府・与党は年末の税制改正で、統合型リゾート(IR)で整備されるカジノへの課税方法を決定する。昨年末は、財務省案に対して自民党内のIR推進派が反発して先送りになった経緯がある。来年には誘致を目指す自治体の申請が始まるため、自治体や事業者側の投資見通しを確保する必要がある。
カジノ利用者の勝ち分に対してどう課税するかが焦点となる。場内でのチップの購入代金と退場時に換金した払戻金の差額を一時所得として課税するが、カジノ内で知人同士でチップを受け渡したりして利益がなかったように見せかける課税逃れが起きかねない。訪日客はすぐに出国して税務調査ができなくなる恐れもあるため、財務省は源泉徴収の仕組みが必要と主張した。
また、事業者が利用者のチップ購入額や全プレー履歴を記録するよう義務づけ、その際に日本居住者についてはマイナンバーカードを利用するとしている。
一方、自民党のIR推進派からは、競馬など他の公営ギャンブルに比べて厳格な徴収制度を導入すれば、利用者の萎縮を招き、事業者の投資意欲も減退するとして反発。観光庁は他の公営ギャンブルと同じ申告納税にするよう主張している。
米国では源泉徴収の対象は、主にスロットマシンの大当たりのみに限定されている。マイナンバーカードの利用も、入退場管理のみに用いることがIR整備法立法時の前提だった経緯もある。
自民党税調幹部は「日本も国際標準に即した制度にする」と述べ、申告納税を示唆するが、もともとカジノに批判的な公明党内では「源泉徴収の方が手間がかからない」という声があり、今後調整が続きそうだ。

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<タックスワンポイント>

空き家抑制策で譲渡所得3千万円控除  売値1億円以下、死後未使用が要件

全国で増え続ける空き家の発生を抑制するため、被相続人が1人で住んでいた自宅を相続開始の日から3年以内に売却すれば、譲渡所得から3千万円を控除できる特例がある。建物は1981年5月3日以前に建築されたもので、売り値が1億円以下、さらに建物が区分所有ではないことなどが条件だ。
相続人がこの特例を受けるためには、売買契約をするまでに2つのことに気を付けなくてはならない。まずは被相続人が死亡してから売却するまで、その家を何の用途にも使ってはならないということだ。たとえ家賃を取らずに親戚の大学生を下宿させていたとしても、条件を満たさないことになってしまう。空き家のまま何の用途にも使っていなかったことの証明のためには、被相続人の自宅がある市区町村に「被相続人居住用家屋等確認書」を交付してもらう必要がある。
もうひとつは、空き家となっている建物は売り主が解体し、更地として売却することだ。買い取り業者は建物が不要であっても、自分で買い取ってから解体する方が安上がりであるため、建物が残った状態で売買契約を交わそうとすることも多いが、それではこの特例は受けられないため注意したい。建物を解体したときは滅失登記をして、更地にしたことが分かる写真を撮っておくとよい。なお、家財を処分した費用や建物の解体費は、譲渡費用として譲渡益から差し引くことができるので忘れないようにしたい。もちろん、更地にしてからも売買完了までの間に駐車場として利用したり、ごみ置き場などとして貸したりすれば、特例の要件には該当しなくなる。
使用していないことの証明はなかなか厄介ではあるが、3千万円の控除は、複数の相続人それぞれに適用されるので面倒でもしっかり要件を満たしたい。仮に相続人が二人で売却後の譲渡所得が6千万円であれば税金はかからない。なお、どちらかが単独で建物を相続した場合、建物を相続しなかった人は適用を受けることができない。

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