<タックスニュース>

事業再構築補助金  5次募集は2月中旬から

新型コロナウイルスの影響で収入を減らした事業者の新分野展開などに最大1億円を補助する「事業再構築補助金」の第5回の申請受付を2月中旬に開始すると、同補助金事務局が明らかにした。同補助金は第6回以降の公募も行われるが、対象となる事業や要件が大幅に変更される予定となっている。
事務局が1月20日に公表した応募要領によれば、第5回の申請受付期間は、2月中旬~3月24日まで。また第4回の採択結果が2月下旬~3月上旬に発表されることも併せて公表された。
第5回公募では、これまでからの変更点として、新事業売上高10%要件の緩和が行われた。これまでは3~5年間の事業計画期間終了後、新たに取り組む事業の売上高が総売上高の10%以上となるよう求めていたが、これを「付加価値額の15%以上」でも認めることとする。また売上高が10億円以上で、事業再構築を行う事業部門の売上高が3億円以上の事業者については、「当該事業部門の売上高の10%以上」でも要件を満たすこととする。
そのほか、補助対象経費についても見直しが行われた。補助事業の実施期間内に工場・店舗等の改修等を完了して貸工場・貸店舗等から退去することを条件に、貸工場・貸店舗等の賃借料についても補助対象経費として認める。ただし一時移転に係る費用(貸工場等の賃借料、貸工場等への移転費等)は補助対象経費総額の1/2を上限とする。また事業再構築への一定のニーズがあることを踏まえ、農事組合法人が対象法人に追加された。
事業再構築補助金は、2020年10月以降の連続する6カ月のうち、任意の3月の売上高がコロナ以前の同3カ月に比べて1割以上減少している事業者を対象に、(1)新分野展開、(2)事業転換、(3)業種転換、(4)業態転換、(5)事業再編――にかかる費用の3分の2を補助するもの。複数回の交付を受けることはできないが、採択結果で不交付となれば2度目の申請が可能だ。
事業再構築補助金は、補助金を用いた設備投資にかかる税負担を軽減する「圧縮記帳」の対象だ。
国や自治体から交付された補助金は会社の「益金」として、法人税の対象になる。額面でたとえ100万円の補助金を受け取れたとしても全額は自由にできず、その一部はもとから税金として納める分が含まれていることになる。しかし機械設備を取得するという目的で受け取った補助金にすぐに法人税がかかると、設備を買った後に手元に納税資金が残らず、経営が苦しくなる恐れが生じる。中小企業を支援するという補助金の趣旨に反するため、補助金で固定資産を取得したときには、圧縮記帳と呼ばれる税務上の特殊な処理を行うことが認められている。具体的には、設備の取得価額から補助分を差し引いて、その年度の利益から除外することが可能だ。つまり80万円の補助金を使って100万円の機械を買ったなら、取得価額はその差額である20万円となる。このような特殊な処理によって、投資年度にかかる法人税負担を抑えられる。補助金によって得た利益を実態より「圧縮」するというわけだ。
事業再構築補助金についても、設備投資にかかった費用を圧縮記帳することができる。一方で技術導入費や専門家経費といった固定資産取得以外の使い方については圧縮記帳できないため注意したい。
なお圧縮記帳はあくまで課税の繰り延べに過ぎず、税負担がトータルで減るわけではない。取得価額が減るということは年々の減価償却で損金にできる額が減ることを意味し、2年目以降は圧縮記帳をしない場合より法人税負担が重くなってしまう。トータルでみれば繰り延べをしてもしなくても法人税負担は同額となり、圧縮記帳をするかどうかは任意であるため、自社の状況に応じた選択をしたい。

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<タックスワンポイント>

相続税の計算時  債務控除もお忘れなく

相続税を計算するに当たっては、預貯金や不動産などプラスの財産評価ばかりに意識が集中してしまい、マイナスの財産である債務の控除についてはおざなりになりがちだ。葬儀費用などは、その時の慌ただしさに流されて、いざ相続税の計算をしようとしたときに「領収書が見当たりません」といったケースも多く見られる。
相続税額は、預貯金や不動産などの相続財産の課税評価額から、被相続人の残した債務と被相続人の葬式にかかった費用を控除して計算する。債務控除のための証拠資料は銀行の残高証明書がベストだが、実務としては単なるメモ書きであっても認められる。ただ、債務があることは確実でも、その金額が曖昧であるときは、現況で「確実」と認められる範囲の金額だけが控除される。
債務となる代表格は住宅取得に伴う借入金や未払金だが、ここで忘れがちなのが地方税の住民税と固定資産税だ。これらは毎年1月1日を基準に賦課され、その後に決定通知書と納付書が届くので取りこぼしのないようにしたい。
このほか、親子の間での貸し借りも盲点だ。子どもが父親に金を貸していて、返済せずに父親が他界してしまった場合、第三者との貸し借りのように契約書等があれば、債務控除の対象とすることができる。逆に言えば、契約書もなく「なあなあ」になっている親子の貸し借りは単なる贈与と判断され、債務控除として認められることはない。なお契約書のあるしっかりとした「貸し借り」を相続した際には、債権債務関係は民法上の「混同」により消滅することになる。
最後に連帯保証債務について。連帯保証は非常に大きな責任を伴うものだが、残念ながら債務控除の対象とするのは難しい。債務控除は相続の発生時に債務が存在する必要があるためだ。

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