<タックスニュース>

トランプ大減税  高まる市場の期待と不安

 トランプ米大統領の税制改正に金融市場の期待が高まっている。トランプ氏が減税を示唆するたびにドル高・円安が進み、株価が上昇する傾向が定着。景気回復の加速に対する期待が先行している形だが、財政規律を重んじる共和党執行部との調整がスムーズに進む保証はなく、円高・株安に反転するリスクもくすぶる。
 2月9日、トランプ氏は米航空大手首脳との会談で「2~3週間以内に税に関する驚くべき発表をする」と発言。財政政策について具体的な時期も含めて言及したことで「大規模減税がいよいよ実現に動き出す」との思惑から、投資家心理が改善。10日の日経平均株価は前日比470円値上がりし、その後も1万9000円台の水準を維持している。
 トランプ氏は、連邦法人税率を35%から15%に引き下げ、企業が海外資金を米国に戻す際の税率を10%に設定、企業の海外移転を防止する関税を賦課するなどの法人税制改革案を主張。民間の投資減税拡大や家計の所得税引き下げなどのほか、官民連携による10年間で1兆ドルのインフラ投資も行うとしている。
 こうした税制改正の具体案については、2月末に控える議会演説や予算教書で示される見通し。ただ、「小さな政府」を志向する米共和党議会が大規模減税案をそのまま受け入れる公算は小さい。「計画自体は既に市場に織り込まれている。よほど驚くべき内容でない限り、大統領選後に見られたような大幅な円安・株高にはつながりにくい」(三井住友アセットマネジメントの市川雅浩シニアストラテジスト)との見方もある。
 トランプ氏が、仮に共和党が多数を占める議会と歩み寄れば、最終的な財政出動の規模は市場の期待を下回る可能性が高い。世界経済をけん引する米国経済の回復スピードが鈍化することへの警戒から投資家心理が冷え込み、円高・株安が進む恐れもある。

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<タックスワンポイント>

相続時精算課税のメリットとデメリット  一度選択したら強制適用

 贈与税には「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つの課税方式がある。暦年課税は、年間110万円の贈与までを非課税とし、それを超えた額について贈与税が課税される方式だ。相続時精算課税は、60歳以上の父母(祖父母)が20歳以上の推定相続人である子(孫)に贈与したときに、贈与者1人につき2500万円まで贈与税が非課税になるもの。控除額を超えた贈与には、一律20%の税率で課税される。その後、相続が開始した時点で、贈与財産と相続財産とを合算した額を基に相続税額を計算する。
 相続時精算課税の最大のメリットには、贈与財産について相続税の税率を適用できることにある。贈与税は4500万円を超えると最高税率の55%が掛けられるのに対し、相続税は6億円超で最高税率になるといったように、贈与税と比べて負担が軽い。
 ただし、一度相続時精算課税を選択すると、同じ贈与者からの贈与については必ず相続時精算課税を使わなければならない。また、贈与時の財産価額で相続財産に合算するので、贈与時から価値が上がるような財産であれば納税額を抑えられるが、下がれば損をすることになる。

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