<タックスニュース>

加熱式たばこに増税論  紙巻離れの税収減に先手か

 2018年度税制改正に向け、普及が進む「加熱式たばこ」増税論が話題を呼びそうだ。一般的な「紙巻きたばこ」とは税額算出方法が異なって税額が低くなるほか、税負担もバラバラな傾向がある。加熱式人気の高まりは減収につながる可能性も高く、先に手を打ちたい税当局の狙いも伺える。
 発端は9月7日、自民党の宮沢洋一税制調査会長へのインタビュー報道。宮沢氏は加熱式の切り替えが増えている認識を示した上で、「紙巻きより加熱式は税率が低い。(商品を出している)3社で実効税率が違っている問題があり、それなりの答えを年末までに出していかなければならないだろう」と述べた。
 「加熱式」は、カプセルなどの中で葉たばこを加熱し、発生する蒸気やたばこ本来の味や香りを楽しむもの。煙も臭いも少ないとして近年、利用者が急増している。
 税制面では、通常の紙巻きは1箱440円(20本入り、税込み)の場合、たばこ税(244・88円)と消費税(32・59円)合わせて277・47円( 負担率63・1%)だが、加熱式は現行では「パイプたばこ」に該当するため、紙巻き1本のたばこ税率( 12 ・244円)をそのまま課税せず、葉たばこが詰められたスティックなども含めた重量1グラムを紙巻き1本と換算している。ただ、各社とも製品形状や課税重量が異なり、値段はほぼ同じでも、税負担は49・2%?14・9%(製品の種類で異なる)と大幅に異なっている。
 日本の紙巻き販売数量は1680億本と20年前から半減しているが、たばこ増税もあって税収は2兆円超で推移し続けている。
 税当局には、現行の税制のまま紙巻きよりも税率が低い加熱式への切り替えが進行することによる税収減の懸念もありそうだ。

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<タックスワンポイント>

会社役員の死亡退職金が「相当」かどうか  キーワードは給料×年数×功績

 業務中に犯罪や事故に巻き込まれて死亡した会社役員には、大抵の会社では「死亡退職金」が支給される。支給額は株主総会などでの決議を経た額になるが、たとえ決議があったとしても「いくら高額でも構わない」というわけにはいかない。税務署が「不相当に高額」と判断した部分は損金算入されない。
 役員の死亡退職金額の設定には、「死亡した役員の最終報酬月額×役員在任年数×功績倍率」という算式が用いられる。この「功績倍率」には明確な定めがないため、税務当局と納税者の間で「高く設定し過ぎている」「高くはない」と、しばしばバトルが繰り広げられる。
 高い功績倍率を設定したければ、「死亡した役員が創業者」「長年会社に貢献していた」などの事情を税務調査で証明する必要がある。ただし、退職金は「退職給与」で、これまでの功績に対して支払われるものであり、一般的な金額から逸脱しすぎると「何か給与とは違う意図があるのではないか」と、国税当局から追及される恐れがある。
 また役員が死亡したとなれば、社葬を行うこともあり得るだろう。社葬のために会社が負担した金額のうち、税務上、福利厚生費として損金で認められる範囲は、「社会通念上通常要すると認められる金額については、損金に算入しても差支えない」としている。社葬が得意先などを招いて社を挙げて行う会社の行事であり、私的なものではないという説明できるようにしておくことだ。
 このとき、遺族が負担すべき密葬費用や通夜費用、墓石、仏壇、位牌、戒名料、香典返礼費用などは社葬経費に含まれない。


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