<タックスニュース>

金地金の密輸が前年比1・6倍に急増  消費税制を悪用したビジネス横行

 金地金の密輸が急増している背景には消費税の増税が深く関係している。
 全国の税関当局が平成28年7月?29年6月の1年間に摘発した金地金の密輸事件は前年度比1・6倍の467件で、過去最悪を記録したことが財務省の発表で明らかになった。密輸事件は消費増税後に急増しており、日本の税制を悪用した闇ビジネスの実態が浮かび上がる。
 金の密輸事件は平成26年の消費税率引き上げを境に急増。25年度は8件だったが、増税後の26年度に177件、27年度に294件と急激な右肩上がりとなっている。28年度の467件は3年前の58倍という異常な伸び率で、脱税額でみても3100万円から8億7千万円にまで増えている。
 金は世界共通の価格で売買されているが、日本での売買には消費税がかかるため、例えば1億円の金塊を外国で購入し、日本で売ると1億800万円を受け取れる。そのため海外から金を持ち込む者には、税関であらかじめ消費税分8%を納めることを義務付けている。しかし入国時に申告せずに税関をすり抜け、日本国内の買い取りショップに持ち込んで利ザヤを抜く”ビジネス”が横行。消費増税によって利ザヤが大きくなっていることから密輸が急増しているというわけだ。
 税関を抜けるための手口は様々で、粘着テープで足の裏に金を張り付ける者や、ブレスレットやベルトのバックルに加工して持ち込む者、キャリーバッグのハンドル部分に隠す者が摘発されている。そのため今後は、空港などに設置する金属探知機やエックス線検査装置の台数を増やすことが検討されている。

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<タックスワンポイント>

お歳暮費用は800万円まで損金  5千円基準は適用外に

 今年も各地のデパートでお歳暮商戦がスタートした。景気の本格的な浮揚が感じられないなかでも、特設売り場はまずまずの活況のようだ。
 取引先へのお歳暮代は原則的に「交際費」として扱われ、税法上は会社の損金にならず、法人所得から差し引くことはできない。しかし、資本金1億円以下の中小企業は、(1)交際費のうち800万円以内の額、(2)交際費に含まれる接待飲食費のうち5割以内の額—-のどちらか高い金額を損金に算入することが可能だ。
 なお、取引先などと食事を行った場合に支出する「飲食費」に関して、1人当たりの金額が5千円以下であれば交際費から除外される”5千円基準”というルールもある。これについて「お歳暮も飲食物を贈ったという点からこのルールが適用できないか」と考えがちだが、答えはノーだ。飲食費は「飲食その他これに類する行為のために要する費用」であり、お歳暮は「飲食」ではなく「贈呈」にあたるため、5千円基準を適用することはできない。
 あくまでも交際費に該当する以上、5千円以下でも損金不算入となる。こうした交際費は範囲が広く、支出する相手もさまざまであるため、いい加減な処理が行われていないか税務当局のチェックが厳しい項目でもある。税務職員はまず証拠書類を検討し、会社業務のために使われているか、私的に使われていないか、支出が会社取引に対してどのような影響を与えているかなどを詳細に調査する。
 また取引先を接待した際に接待費の援助を受けていないかなど、交際費を支出した相手についても確認される。接待した日付や場所、相手の名前なども含めて細かく検査するので、お歳暮についても誰に何を贈ったかについて記録を残しておくなどの対策をとっておきたい。

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