<タックスニュース>

改正民法が成立  配偶者の取り分が大幅増

 相続制度の見直しを盛り込んだ民法の改正法案が7月6日の参院本会議で可決、成立した。相続制度の大幅な見直しは1980年以来約40年ぶり。従来の相続制度を大きく変える内容が多数盛り込まれ、特に配偶者の権利を大幅に拡大するものとなっている。改正法は2020年7月までに施行される。
 改正法では、結婚して20年以上の夫婦であれば、生前贈与か遺贈された自宅や居住用土地は、遺産分割の対象から外すことができるようになる。現行法では原則として、生前贈与された住居は遺産分割や遺留分減殺請求の対象となっていたものを、完全に配偶者だけの取り分とする。配偶者は自宅を得た上で、残された財産について「2分の1」という法定相続分を取得することができることになる。
 また「配偶者居住権」制度が導入される。現行法では、配偶者が遺産分割で建物を得た時に、建物の評価額が高額だと預貯金といった他の相続財産を十分に取得できない恐れがある。今の住居に住み続けるための所有権を得ると老後の生活資金に不安が残ってしまい、逆に預貯金を相続すると家を失うことになってしまい、どちらにせよ生活は不安定にならざるを得ない。改正法では、所有権が他者にあっても配偶者が住み続けることができるよう、家の価値を「所有権」と「居住権」に切り離し、配偶者はそのうち居住権のみを得れば家に住み続けられるようにする。さらに亡くなるまで行使できる「長期居住権」とは別に、遺産分割が終わるまでとりあえず住み続けることができる「短期居住権」も創設され、分割協議の結果、長期居住権を得るか家そのものを取得すれば、その後も住み続けることができ、居住権を手放した場合にも、次の家を探すまでは一定期間居住する権利が得られる。
 他にも相続に影響を与える見直しが盛り込まれている。その一つが介護などで貢献した親族への金銭要求の権利創設だ。長男の嫁など法定相続人でない者であっても、生前に介護などで特段の貢献をしたと認められれば、遺産分割の際に一定の金銭を「特別寄与料」として要求できるようになる。その他、自筆証書遺言を法務局に預けられるようになる制度や、なくなった人の預貯金を遺産分割前に引き出せるようになる制度なども盛り込まれた。


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<タックスワンポイント>

お中元の商品券の送付先リストはしっかり管理!  私的利用が疑われれば法人税も所得税も増額

 もらってうれしいものを正直に言えば、やはり使い方の自由度の高いものだろうか。代表格は現金、次いで換金性の高い商品券等々…。
 早くもお中元の季節となったが、贈り物にビール券などの商品券は喜ばれるものの筆頭だ。当然ながら経費として認められる。ただし、その経理処理は通常の商品以上に注意が必要だ。
 なんといっても商品券は換金性が高い。相手に手渡したときに「受取証」をもらうこともないため、税務調査では「本当に渡したのか」と、疑われることも多い。実際、会社が買った商品券を取引先に渡さないで自分の懐に入れてしまうという事例はいくらでもある。社長自身が自身の臨時収入にしてしまうほか、預かった社員が自分のポケットに入れたり金券ショップで換金したりするという。もちろん、不正に手にした金券を転売したことによる譲渡益を申告する者はいない。
 こうしたことは税務署も想定内であるため、お歳暮やお中元の扱いにはしっかりと目を光らせている。お中元の処理で痛くもない腹を探られないためには、商品券を渡した相手のリストを正確に作ってしっかり保管しておくことだ。その際は、相手の社名や日時、商品の内容はもちろんのこと、配送でなく手渡したのなら受け取った相手の名前も記しておきたい。
 せっかく会社で買って取引先に確かに渡した商品券も、税務署に否認されれば、その代金は損金にできず会社の所得が増えて法人税が増加するだけではなく、社長が懐に入れたと判断されれば、ボーナスということで社長個人の所得税と住民税も跳ね上がる。まさに踏んだり蹴ったりだ。しっかり対処しておきたい。
 お中元の季節は以前に比べて全国的に早まっているようだ。北海道では、旧盆の時期にあたる7月15日~8月15日あたり、東北と関東は7月初旬から7月15日まで、北陸は地域によって関東型と北海道型に分かれ、東海・関西・中国・四国のお中元では、7月15日~8月15日までに贈ることが一般的なようだ。また、夏の到来が早い沖縄では旧暦の7月15日までに贈ることが多いという。

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