Vol.0459
<タックスニュース>
滞納残高18年連続で減少 公売で4億円分を売却
国税庁はこのほど、1年間の活動やその年のトピックについてまとめたレポートの最新版を発表した。滞納されたままとなっている国税の「残高」は、ピークだった1998年の2兆8149億円から18年連続で減少し、2016年度には8971億円となっていることが分かった。
国税の滞納額は14年度までゆるやかな減少傾向にあったが、15年4月に消費税率が5%から8%に引き上げられたタイミングで3割増加した。しかしそれに合わせるように、未納分の徴収などの処理を終えた「整理済額」も伸び、未整理額は17年連続の減少を達成している。
滞納整理で差し押さえられた財産を売却するインターネット公売は、17年度に4回実施された。高級車や宝飾品、不動産など前年の2倍となる約800物件、4億円分を売却した。レポートは「ネット公売は利便性が高く、より多くの参加者を募ることができるため、差し押さえた財産の高価・有利な売却に役立っています」と成果を誇った。
レポートでは適正・公平な課税徴収の課題として、国際的な取引への対応を挙げている。各国の税制の違いなどを利用した税逃れを防止するため、国外送金等調書や国外財産調書の提出など様々な施策を実施しているが、前年度から顕著な伸びを見せたのが、租税条約に基づく各国との情報交換制度だ。15年度までは情報交換件数は約300件で推移していたが、最新の16年度では738件と、一気に倍以上に増えている。18年4月時点で123カ国が70の租税条約を発効していて、今後ますます情報交換制度を活用した所得の捕捉が進むとみられる。
なおレポートには国税庁長官の名前で「納税者の皆様へ」という前書きが置かれるのが通例だが、今年は佐川宣寿前長官が辞任して長官職が空席となっているため、「藤井健志国税庁長官心得」との名前が書かれている。
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<タックスワンポイント>
おしどり贈与で税負担が重くなることも 不動産取得税と免許税に注意
結婚して20年以上の夫婦間での住宅や住宅資金の贈与は、贈与税の年間控除枠の110万円に加え、別枠で2千万円までを課税対象から除外する特例を利用することが可能だ。この特例は、雌雄が常に一緒に過ごすおしどりの名前を使って”おしどり贈与”と呼ばれることがある。長期にわたって一緒にいるからといって必ずしも仲睦まじい関係を続けられているとは限らないが、税負担が減るのであればおしどり夫婦として税特例を活用したい。
ただ、制度を利用することでかえって支出が増えることもあるので注意が必要だ。住宅の贈与の際に掛かる不動産取得税や登録免許税、専門家への報酬を合計すると何十万円もの支払いが生じることを踏まえたうえで制度を利用する必要がある。
まず、住宅を贈与で受けた人は名義変更の際には土地や住宅の固定資産税評価額の3%分の「不動産取得税」を支払わなければならないが、これに対して相続で住宅を受け取れば、不動産取得税はかからない。
さらに、所有権の移転登記にかかる「登録免許税」は、贈与で住宅を受け取れば不動産の価格の2%だが、相続なら0・4%に下がる。いずれも相続より贈与で受け渡した方が高くつく。
このほかにも、贈与の際に税務申告や登記手続きの代理を税理士や司法書士に依頼し、その後に相続が発生した際にも再び専門家に依頼するとなると、贈与をせずに相続時だけに手続きの代理を依頼した人と比べて支払う報酬総額が割高になりやすい。
そもそもおしどり贈与の目的は生前に無税で贈与することで将来の相続税の負担を減らすことにあるが、夫婦間の相続では1億6千万円までの相続財産には相続税が課税されないことになっているため、生前贈与をしなくても相続税がゼロとなる可能性は十分あり得る。
ちなみにおしどり贈与は、同じ相手につき一度しか使えない。利用した後に離婚して別の相手と再婚をすれば適用が可能だが、さらに20年の月日が必要となる。
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