Vol.0474
<タックスニュース>
『税理士新聞』アンケート 軽減税率 反対が95%
『税理士新聞』が税理士を対象に消費増税に伴う軽減税率についてのアンケートを実施したところ、回答者の約95%が「導入に反対」という結果となった(賛成9票、反対180票)。
反対する理由を見ていくと、「税率を区分しなければならない煩雑さやインボイスを発行しなければならない手間で、どれだけの事業者が苦しめられることになるか」「わずらわしいわりに、それに見合う効果がない。どこかでいい加減さがないと日常的な処理はできないので、正確さを求めにくくなる」「税計算の複雑化に伴って誤りが増える」と、中小企業の事務増大を懸念する声が多かった。
さらに、実務上の問題に加え、低所得者対策に疑問を投げかける声もあった。「高級スーパーやデパ地下で買うキャビア、トリュフ、フォアグラの三大珍味と、50%オフのシールの貼られた賞味期限の近い安物が、同じ税率になる。ぜいたくできる人ほど得をすることになる」「軽減税率で最も恩恵を受けるのは比較的消費額の大きい金持ちだという残念な事実は、もっと大きく報道されるべきだと思う」などと、食料品を軽減税率の対象にすることによって消費税の逆進性をさらに強めてしまう結果になるのではないかとする意見が寄せられた。
一方で軽減税率導入に「賛成」という意見では、「国民感情から考えれば軽減税率は必要であり、食料等に限定せずもう少し対象を広げるべき」「税理士や事業者の負担が重くなるからと言って反対するのはエゴに過ぎない」と、軽減税率が弱者対策に有効な手段とする主張がみられた。
今回のアンケートは軽減税率の是非を問うものだったが、「一部の品目の税負担を軽減するより税率を引き上げない方がよほどまし」「国が消費税依存に舵を切ったことが残念だ」と、消費税そのものの是非に言及する回答も寄せられた。
また、「政府は消費税を社会保障のためのものと言い続けてきたのに、導入とこれまでの税率引き上げで福祉が良くなったとは思えない」「今度の増税が実施されたら、どれほどの中小企業が倒産、廃業に追い込まれることになるのか、心配でならない」といった意見もあった。
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<タックスワンポイント>
ゴーン容疑者逮捕 日本版司法取引とは
日産自動車のカルロス・ゴーン会長が自身の報酬を過少申告したとして、金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の疑いで逮捕されたが、これには国内で2例目となる司法取引制度が適用された。
司法取引とは、刑事事件の容疑者や被告が、自分や他人の犯した犯罪行為についての情報を当局に提供する見返りに自身の処分を軽くしてもらう制度だ。アメリカ映画でなじみのある人も多いだろう。日本では今年6月に施行されたばかりの新しい制度だ。
対象となる犯罪の範囲は、贈収賄や詐欺、覚せい剤取締法、組織犯罪処罰法など刑事訴訟法に明記されたもののほか、政令で規定した経済犯罪として、独禁法や特許法、会社法の違反、そして今回ゴーン容疑者の逮捕理由となった金商法の違反、脱税などが対象となる。
アメリカで多く適用されている司法取引だが、その内容は日本とは異なる。アメリカ型は自分の犯罪を認めることで罪の軽減を図るものだが、日本型は他人や共犯者の犯罪が対象になっている。そのため日本型では、自身の立場を有利にするために「仲間」を陥れるような虚偽の供述を行い、えん罪を生む危険性も指摘されている。
また、司法取引が有効に活用されていくことは、組織の内部の膿を出すためには期待されるものの、組織のなかで「誰か」が人身御供となってしまうことで、本質が糺されないようでは本末転倒だ。
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